子どもが食事を途中でやめたり、好き嫌いをしたり、時間がかかりすぎたり…。そんな食事の悩みは、多くの家庭で日常的に起きるものです。忙しい朝や家事の合間に、ママやパパはどう対応し、子どもと向き合っているのでしょうか?今回は、峯村敏弘園長先生(シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクールの創設者で園長)との子育て座談会、第4弾。実際に子育て中のパパ・ママたちが、それぞれの家庭のリアルな食事風景や悩みを赤裸々に語ります。「子どもと食」に関するヒントを一緒に探っていきましょう!
食べるのが遅い子への対応方法
- 「ごはん食べるの?食べないの?」
- はっきりしてくれぇ~!
- こそだてDAYS
- それでは、マンガ「ごはん食べるの?食べないの?」をテーマに、皆さんからお話を伺いたいと思います。
- T.Mさん(6歳児のパパ)
- うちの子は基本的にご飯大好きで、好き嫌いとかあんまりないんですけど、途中でご飯に飽きちゃうんじゃないかな…、すぐどっか行っちゃうんです。
- O.Sさん(1歳児のママ)
- わが家の場合、最初は一緒に食べているんですけど、私と旦那のほうが食べ終わっちゃうんです。朝は忙しいから準備をしたくなって、皿洗いしに行ったり、洗濯に行ったりすると、やっぱり周りが落ち着かないから自分も気になるんでしょうね。子どももパン食べながら立ち上がってうろちょろし始めたりしてしまう。「よくないかな?」と思いつつ、でも朝の準備もしないといけないし…
- S.Tさん(8歳児と6歳児のパパ)
- うちの下の子は食べるのが遅くて止まっちゃう。横について「食べようか」言って進めさせていると、食べるふりをするんですよね。ちっちゃいスプーンで「ごはん入ってなくない?」みたいな感じで、(食べては)またピタッと止まってみたいなのが今もまだありますね。朝はちょっと時間がないので、手伝って食べさせてますけど、夜はつきあうように極力はしてます。時間の許す限り…。
うちの子は園では早く食べるらしいんです。「おかわりまでしている」と聞くと、「どうして家ではしてくれないんだろう」とすごく疑問で。
- 峯村先生
- 幼稚園でできていたらいいじゃないですか(笑)。そこでお父さんお母さんたちは、気楽に思った方がいいと思うんですよね。「お母さん、バタバタしたらだめですよ。時間に余裕をもって朝ごはんの時間を家族3人でゆっくり持つべきです」と言ったところで、(忙しい朝に)できるわけがないですよね。
子どもは「食べることと出すこと」は強制したり、決めたりできないんです。食べるのがゆっくりな子は、「早く食べろ」と言ったら、逆にいろいろなところに支障が出てしまいます。
オムツを外す時に「外しなさい、外しなさい」と言ったら変なトラウマになったり、赤ちゃん返りがあったりします。食べることと出すことは、自分のタイミングでしていくことが大切です。食べることが大切なんじゃなくて、食べたくなることが大切なので、その辺は気楽に考えた方がいいですよ。
- 峯村先生
- 食べて遊びに行っちゃうんだったら、夏だったら(ごはんが痛まないように)、「冷蔵庫に入れておいてあげるから、食べたくなったらあとで出してあげるよ」ぐらいな感じの心の余裕で。
幼稚園でちゃんとできていたら、幼稚園で頑張っているんだから、家庭ではできる限り好きなようにやらせてあげていいんじゃないのかなというふうに思います。大人もお腹いっぱいなのに「食べろ」って言われても嫌だし、トイレを我慢させられるのもすごく嫌だし、その辺のところはできる限り「自由でいいんだよ」って言ったら体も体調も整ってきます。
- O.Sさん(1歳児のママ)
- うちの子はお米と芋が大好きで、それを出した時はもりもり食べるけど、でも親としては野菜をちょっと摂ってほしいなって思いがあります。野菜を出しても「これはいいです」とか(拒否されて)心配しちゃうんですけど…。
- 峯村先生
- 栄養士さんに怒られちゃうかもしれないですけど、自分としては絶対大丈夫です。お父さんお母さんも嫌いなものは避ける人もいますし。糖質の摂り過ぎで何か(病気などの)問題が起きているなら制限しなきゃならないですが、小さい頃の好き嫌いで体調は崩れないですから大丈夫です。
- こそだてDAYS
- このマンガのお母さんのように、1時間かけても食べ終わらないというのがずっと続いている場合、何か改善点はありますか?
- 峯村先生
- 子どもじゃなくてお母さんがそれを楽しむしかないですよね。この子は何を言っても何をしてもダメ(食事が早くならない)ということは、そもそも食べるのが遅い子どもだというデータが出ているわけですから。変えるのは親ですよね。
じゃあその間にどう(何を)やろうか?
その時に「全部食べられないとテレビは見せないからね」というような強制は良くないです。強迫観念を与えるようなことではなく、「じゃあ1時間楽しんで食べてね。そのかわり、お母さんは〇〇しているから。ゆっくりどうぞ」というような形で、親の態度を変えたら、子どもたちは変わってくる可能性が高いです。ガミガミ言えば言うほど、もっともっと内にこもって絶対変わらなくなってきますので、お母さんがその時間を楽しむようにした方がいいのかな。特に追われていることがなければ、(こういう方法を)やってみてもいいと思います。
- こそだてDAYSスタッフ
- 忍耐力を試されているというのではなくて、「面白い」と思ってみる、ということですね。
- 峯村先生
- そうです。「じゃあ、お母さんは本を読むね」「ちょっと料理するね」でもいいですし。子どもたちの態度が変わってきますので、それで子ども自身も「何かやりたい」と思ったら、早く食べるようになるかもしれません。それでもゆっくり食べたければ、それがその子のリズムでしょうし。
成長とともに変わってくればいいのではないでしょうか。
まとめ
- 食べるスピードやトイレのタイミングはコントロールできないものと心得よう
- 食事内容の偏りはあまり気にせず心に余裕を持とう
- どうしても時間のかかる子はその時間をママも楽しんでしまおう
-
峯村敏弘シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクール創設者
- 東進スクール、日能研を経て1998年よりシンガポールに住む。 「子どもたちの今と未来を幸せにする。」を模索した結果、当地にEis International Pre-School及びキッズルー&ママルーや学習塾KOMABAを創設。 当地以外にもインドネシア(ジャカルタ)、フィリピン、日本において教育事業を展開。さらに特別支援教育を始め、広く日本人子女のための教育活動を行なっている。