爪噛み、貧乏ゆすり、噛む、たたく、嘘をつく…など、気になる子どもの癖。根本にはどんな原因があるのでしょうか。今回は、峯村敏弘園長先生(シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクールの創設者で園長)との子育て座談会、第5弾。子どもの癖をやめさせたいと悩んでいるママ・パパと一緒に対応方法を学んでいきましょう!

2025.01.27
第5回

やめさせたい子どもの癖、どう対応する?

こそだてDAYS
それでは、マンガ「子どもの爪噛みに悩んだけど…」をテーマに、皆さんからお話を伺いたいと思います。

①爪噛み・貧乏ゆすり

T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
私が気になるのは、上の子の爪噛みと、貧乏ゆすりですね。どちらも見た目が良くないのでつい「やめなさい」とか注意してしまうんですけど、言ってもやめられないんです。
やめさせたい子どもの癖につい「やめなさい」とか注意してしまうんですけどと話す育児中のママ
峯村先生
爪を噛むのも貧乏ゆすりも、基本的にはストレス解消です。それが恥ずかしいことだと人前ではしない。でも、家の中ではリラックスして、ストレス解消をするわけです。ですから、よっぽど恥ずかしいこと以外はやらせてあげた方がいいと思います。
血が出るほど爪を噛んじゃうんだったら「痛いからもっとこうした方がいいよね」というのを話をして違う方向に持っていくとか、「ブロックをやり始めたら?」とか、ちょっと「格好悪いね」とか、「よくないから爪噛まないほうがいいね」というようなことで、自分が「あ、そうだな」って納得できること(がいいと思う)。無理やりやめさせちゃうとストレスが溜まっちゃいますから。
「爪噛み・貧乏ゆすりなどの子どもの癖を無理やりやめさせちゃうと、ストレスが溜まっちゃいますから」と話す峯村敏弘先生
峯村先生
自然にやめていければ、今度また別のストレス発散方法が見つかっていくので、それが運動だとかゲームだったりもするし、大人でもあるんじゃないですか、お酒飲まないとストレス解消できないとか、それは子どもも一緒で、幼稚園でのストレスを溜めて家に帰ってきているから、家では発散させてあげるっていう方が自分はいいと思います。
特に貧乏ゆすりの場合は運動不足とよく言われているので、運動をとにかくたくさんさせてあげる方がいいかと思います。運動もストレス解消になるので、そういう癖がなくなりやすい方法だと思いますね。
「特に貧乏ゆすりの場合は、運動不足とよく言われているので」と聞いて驚いた表情の育児中のパパママ
峯村先生
爪を噛み過ぎて血が出ちゃった場合は、「絆創膏を貼っておこうね」とか「絆創膏貼ったから、しばらく舐めちゃだめよ」というのはありだと思います。そうしたら自分で他のストレス解消法も考えていくと思います。見た目が悪いからやめさせようというのは、大人のエゴですよね。大人のエゴでやめさせようとしたことは、大体失敗するような気がします。
「子どもにとってストレス解消しているんだからいいよね。」「でも血が出るんだったら、もっと違うことがいいんじゃない?」という提案とか、話し合っていくのがいいですね。

②噛む・たたく

T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
下の子が今2歳なんですけれども、まだちょっと言葉がうまく出ないので、何か嫌だなということがあった時に私とか兄とかお友達とかを噛んでしまったり、手で叩いてしまうことが結構あって。親としてはすぐ「やめなさい」って言ってやめさせようとするのですが。噛んじゃう子は幼稚園でもいると思うのですが、そういう時はどう対処したらいいのでしょうか。
峯村先生
多分一番それが出やすいのが年少の時。年少の前というのは、一緒に遊んでいるようでも、それぞれ勝手なことをやっている。子どもが一緒にいるだけで、あまり一緒に遊ぶことが少ないんですよね。年少ぐらいから一緒に遊びます。友達の意識ができているので、一緒には遊びたいんだけれど、自分のおもちゃを貸したくない、相手のおもちゃは借りたい。その折り合いがつかないところで喧嘩が始まるので、常に話をしていくしかないですよね。「貸してもらったら、ちゃんと貸そうね」「よくできたね」って褒めていくなどして、「(友達と仲良く遊ぶことは)楽しいよね」という風に進めていけたらいいんじゃないかなと思います。
「自分のおもちゃを貸したくない、相手のおもちゃは借りたい」と話す峯村敏弘先生と、聞いているママ
峯村先生
また、第2子が手を出したり嚙んじゃったりするのは、お兄ちゃんと自分の力の差は歴然ですので、それをカバーするための手段です。だから、手を出した時にはちゃんと話し合いをして、何分間以上経ったらお母さんも話し合ってあげるからねとか、お兄ちゃんも交えて「30分使ったら30分貸してあげようね」というような形で、ルールというよりも、その子どもが納得するという(ことが大切)。イライラを持ち上げないで、「手を出さなくても、ちゃんと解決方法があるんだ」ということを話していただけるといいんじゃないかなと。
こそだてDAYS
「噛む」となると、相手のお子さんがいることなので、それを(園の)先生がどういう目で見てくださるかというところも、やっぱり親としてすごく心配な部分ですよね。
峯村先生
そうですね。(相手が)他人になった場合は「噛んで失敗しちゃったな」と思っているのはその子本人なので、その時に「何やっているのよ、あなたは!」と叱ったら、子どもは噛んでショックを受けて、それからまた大好きなお母さんに怒られて…となるので、いじけていくしかない。「大丈夫だよ、何で噛んだのか言ってごらん」と話を聞いてあげて「そうだよね、それだったら噛みたくなる気持ちもわかるな」「でもさ、噛んだら状況が悪くなるよね」っていうような話をしてあげてください。お母さんは、何かトラブルがあった時に「お母さんは常にあなたの味方だよ」というその立ち位置を子どもに知らせて安心させてあげる。「(子どもは親の気持ちを)分かっているだろう」って思うんですけれども、やっぱり言葉で伝えてあげてください。「あなたはお母さんにとって大切な子なんだよ、大好きなんだよ」というのを、何かトラブルがあった時にちゃんと伝えてあげる、失敗した時にこそ伝えてあげるということが大切なのかなと思いますね。

③嘘をつく

T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
上の子は、何かあった時に嘘をついたりごまかしたりしようとすることが結構あって…。それがちょっと癖になっちゃっているところがあるんです。 
峯村先生
それは「嘘」じゃなくて、お母さんの求めている答えを言っていますね。「やってないのよね?」と聞かれたら、お母さんが「やっていない」と言って欲しい(と思った)から「やっていない」って言う。「なんでそんなことしたの?」って言うと、何かやっぱりいい理由を考えてお母さんが納得しそうな理由を言う。それはお母さんが望んでいることを子どもは言うのであって、嘘をついているのとは違うんじゃないかなと思います。
「でもここで嘘ついちゃったら楽しくなくなっちゃうっていうので締めて」と話す峯村敏弘先生
峯村先生
嘘をついたことを責めるんじゃなくて、「何でやっていなかったの?」という話をした方がいいと思う。だいたい嘘をついて怒るときっていうのは、もう親の側は怒る気満々なんですよね。嘘の原因を理由に怒ることが多いので、そうじゃなくて子どもの気持ちにどうやったら寄り添ってあげられるかっていうので対応を考えた方がいいです。楽しく過ごしたい、でもここで嘘ついちゃったら楽しくなくなっちゃうよね。だから「正直言って大丈夫なんだよ」「お母さんは正直に言うことが一番嬉しいんだよ」っていう風に言ってあげるのがいいんじゃないのかな。

まとめ

  • 子どものストレス解消なので無理にやめさせず、他の遊びや運動で解消できるよう提案してみよう
  • 子どもの気持ちに共感しながら、噛んだり叩いたりしなくても解決方法があるということを伝えていこう
  • 子どもはママの求めている答えを言っているので、怒らずに「正直に言ってくれることが一番うれしい」と伝えてみよう
峯村敏弘
シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクール創設者
東進スクール、日能研を経て1998年よりシンガポールに住む。 「子どもたちの今と未来を幸せにする。」を模索した結果、当地にEis International Pre-School及びキッズルー&ママルーや学習塾KOMABAを創設。 当地以外にもインドネシア(ジャカルタ)、フィリピン、日本において教育事業を展開。さらに特別支援教育を始め、広く日本人子女のための教育活動を行なっている。

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