子どもの未来が心配だからこそ、つい怒ってしまう…ということありますよね。
「子どもは幸せになるために生まれてきたと信じ、そのエネルギーを伝えることが大切」と話す峯村敏弘園長先生(シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクールの創設者で園長)。 具体的にどんな言葉がけをしたらよいのか、一緒に学んでいきましょう。

公開日 2025.03.24
第7回

子どもの未来が心配

こそだてDAYS
子どもの未来について親はどのように考えればいいでしょうか。
峯村先生
まずは信じるということ。「この子は必ずまっすぐ幸せに育っていく」と信じるエネルギーをきちっと子どもに伝えていってあげる。そうすると子どもは必ず幸せになっていきます。不幸の原因って何かというと、“不安”なんですよね。不安が全てのものを悪くしてしまいます。人はみんな幸せになるために生まれてきています。

幸せになるためには“2つの自信”が必要です。1つ目は「あなたはとても大切で価値があって素晴らしい人間なんだよ。だから大丈夫」というエネルギーを幼児期にきちんと染み込ませていく。2つ目は「あなたの未来は絶対輝いてるんだよ。今日も明日も明後日も10年後 20年後も、嬉しいこと楽しいこと、いっぱいある人生だから大丈夫だよ」ということを伝えていきます。「空を見てごらん。こんなに青くてきれいだよね。花はいい匂いがするよね。夕日は赤くてきれいだね。」というような、自然の美しさを一緒に喜ぶような感覚をいっぱい引っ張り出してあげてください。
「子どもの未来が心配」というテーマの座談会をしている、峯村先生。
峯村先生
2つの自信がついたら、「自分でしっかり考えて、自分で判断していい」という自信につながっていきます。そういうふうに子どもたちが育っていってほしいなと思っています。
こそだてDAYS
子どもの将来に関して、赤ちゃんの時、幼少期はもちろんですが、成長していくにつれて難しくなると思うんです。そのあたりはいかがですか? 
「子どもの未来が心配」というテーマの座談会をしている、峯村先生とママ達。
峯村先生
「この子は絶対幸せになるために生まれてきたんだから、大丈夫!」と信じましょう。お母さんやお父さんは「この子を命をかけて守りたい」と思っているでしょう。だったら、この子は絶対幸せになるんです。
その代わり、親も幸せにならなきゃいけないです。親もポジティブに生きて「私は絶対大丈夫」と信じること。「私は価値があってすばらしい人間、幸せにしかならない人間だから大丈夫」というのを自分自身に言い聞かせて生きていくのが、子どもにとっても一番影響があるのではないかなと思います。
T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
上の子は小学一年生の男の子なんですが、赤ちゃんの頃は、ただただかわいくて「大事だよ 大好きだよ」って言っていました。でも、だんだんハグする機会も減ってきているんですよね。
子どもだけの世界が出来てきて、家に帰ってくると「ただいまー!じゃあ行ってくる!」と言ってランドセルをポイっとおいて遊びに行っちゃって。「あれ?今日何したかとか聞きたかったのに!」ということもあったり…。子どもが成長していくにつれて、母と子の時間も減ってきた気がします。そうなると必然と「大好き」って愛情を伝える時間もハグする時間も減ってくるので、親の方が意識して言葉に出して、一日の最後寝る前とかでもいいので、「大好きだよ 今日も楽しかったね」って伝えられるといいなと思いました。
「子どもの未来が心配」というテーマの座談会をしている、峯村先生とママ達。
こそだてDAYS
よく外国の映画を見ると、ハグしていますよね。日本人は恥ずかしがっちゃいますが、シンガポールではどうですか?
峯村先生
シンガポールでも恥ずかしがって、あんまりしないですね(笑)。でもそこは逆に、子どもを褒めるというよりも感謝を伝えると、一番子どもの自尊心が育つと思います。やはりお母さんの方から「ハグさせて」というのが大切なような気がするんですよね。子どもとハグができたら「ありがとう。 お母さん本当に嬉しい」と言って感謝を伝えられますし、子どもも愛情を感じます。(子どもがある程度の年齢になると)「うるせえな」なんて言うかもしれませんが、それでも「嫌なのは分かるけど、お母さんがしたいからハグさせてね」というような方法も、実は大切なんだと思いますね。
こそだてDAYS
親というのは、子どもが生まれてきた時はミルクを飲んでいるだけで嬉しかったはずなのに、大きくなると、なんとなく期待度が変わっていってしまいます。どんどん子どもの幸せとかけ離れてしまうかもしれないですね…。
峯村先生
親は、子どものことが大好きで心配だから、文句も言っちゃうし怒りたくもなっちゃう。ですが、子どもにとってはその愛情が伝わらないので、ただ怒られているという形になります。ことあるごとに愛情や感謝を伝えることが必要なんじゃないかなと思いますよ。

まとめ

  • 子どもに「あなたは素晴らしい人間だから未来は絶対に大丈夫」と言い聞かせていく
  • 親も「この子は絶対に幸せになる」と信じそして親自身も幸せになると自分に言い聞かせる
  • 自尊心が育つように子どもとスキンシップをとって感謝を伝えよう
峯村敏弘
シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクール創設者
東進スクール、日能研を経て1998年よりシンガポールに住む。 「子どもたちの今と未来を幸せにする。」を模索した結果、当地にEis International Pre-School及びキッズルー&ママルーや学習塾KOMABAを創設。 当地以外にもインドネシア(ジャカルタ)、フィリピン、日本において教育事業を展開。さらに特別支援教育を始め、広く日本人子女のための教育活動を行なっている。

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