子どものしつけでは、「自分の体を守ること」と「人への配慮」の2点が大切。それ以外は自由にさせて個性を伸ばすことが大事なのでは…と話す峯村敏弘園長先生(シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクールの創設者で園長)。
具体的にどんなことなのか、一緒に学んでいきましょう。
子どものしつけで大切なこと
- 峯村先生
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子どものしつけで大切なのは2つあります。
1つ目は、自分の体を守ること。「拾ったものを食べたらお腹痛くなっちゃうよ」から始まって、「ちゃん手を洗って うがいをして、できれば顔を洗って ばい菌を取り除き、清潔に暮らしていきましょう」「ご飯を食べる前にもちゃんと手を洗いましょう」と、しっかり伝えることです。
例えば「鋭利なものをポケットに入れたり、持ったりして走ったりしたら、転んだ時に自分に刺さっちゃうよ」「ぶつかったらお友達に大ケガさせちゃうよ」というような、二手三手先の危険を子どもに伝えることも必要です。グラグラした物に登る時は、(小さいうちはすごく面白くて登りがちですが)「崩れたら大怪我するからダメなんだよ」ということを示して、自分の体を守ることを教えるのがすごく大切。理屈なく「これはダメだ」ということを教えていきます。
2目は、「人に対して失礼なことはしない」ということ。例えば、暴力を振るう、ルールを守らない、嘘をつく…など、社会生活が狂うようなことをやると、みんなに迷惑をかけて自分も苦しい思いをするものです。
また、ご飯を食べるとき、例えば魚は生きるために生まれたんだけれども、自分たちはその命をいただいています。自分たちが健康になるために食べさせてもらうので、その代わりに「命をありがとう」と感謝する。それを作ってくれた人にも感謝する。だから「粗末にするようなことはやめよう」ということをきちんと教えてください。 - 峯村先生
- 自分の体の健康を守るということと、人に対して失礼なことはしないという、この2つの路線は、きちんと「ダメなことはダメ」とルールを決めて話をしていきます。
逆に言うとこれ以外のことはできる限り自由でいいと思いますね。人の真似をしてもいいし、自分のオリジナルをやってもいいし、自由に生きていい。そこから自分のやりたいことを見つけて、生き生き伸び伸びやっていいんです。人と違ってもいいし同じでもいいし、どっちでもいいんだよという教育がすごく大切なんじゃないかな。その中で自分の価値観を見つけていければいいんじゃないのかなと思います。 - こそだてDAYS
- 先生のおっしゃる“しつけ”というのは、危険を察知して危機管理をするということと、もう一つは人に対する感謝。人だけではなく生きているものに対する感謝。例えば、お魚に感謝ができると、それがお魚をいただくときの所作につながり、しつけになると思えばよろしいのでしょうか。
- 峯村先生
- まさにそのとおりだと思います。「落としたら食べられなくなるから、気を付けて丁寧に食べようね」とか、見た目がおかしいからというよりも「人や食べ物に対してちゃんと礼儀をもとうね」ということだと思います。

- T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
- 子どもに「ダメだよ」って伝えても、その10秒後ぐらいには忘れてまた同じことをやるんです。そうすると、最初は私も「ダメだよ」とか「やめようね」と言っているのに、「さっきもそれ言ったでしょ!」と怒ってしまいます。
- 峯村先生
- 「子どもは親の言ったようにはならない、親のやったようになる」とよく言われます。子どもがごはんを食べてワーッと走り回ってしまうのは、まだ前頭葉の制御器官ができていないから。そこを叱っても「怒られて嫌な思いをした」という意識しかないので、あまり意味がないです。逆にお母さんのほうが、ご飯のくっついた箸を振り回して「何やっているのよ」なんて言っていたら、本末転倒ですよね。それよりも「それはやめてほしいな」というお母さんの提案…気持ちだけを伝える。「走り回られると、なんか美味しくなくなっちゃうな…」と言いながら、お母さんはちゃんと食べている姿を見せたほうがいい。もちろん、危険なことであればやめさせなければダメですが、それ以外のところは子どもはお母さんがやったようにやっていくので、親が丁寧なところを見せていくことが大切です。

- こそだてDAYS
- 所作は親がやった通りになるということですね。
- T.Nさん(7歳児と2歳児のママ)
- 耳が痛いです(苦笑)
- こそだてDAYS
- 親として常に“しつける”いう感じで見てしまうとダメで、己が全てということですね。
まとめ
- 「自分の体を守ること」と「人や物に対して失礼なことはしない」の2つが大切
- 危険なことや命を粗末にすることは「ダメ」としっかり伝える
- 所作は言って聞かせるのではなく親自身が見せていくのが効果的
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峯村敏弘シンガポールのイーズ・インターナショナル・プリスクール創設者
- 東進スクール、日能研を経て1998年よりシンガポールに住む。 「子どもたちの今と未来を幸せにする。」を模索した結果、当地にEis International Pre-School及びキッズルー&ママルーや学習塾KOMABAを創設。 当地以外にもインドネシア(ジャカルタ)、フィリピン、日本において教育事業を展開。さらに特別支援教育を始め、広く日本人子女のための教育活動を行なっている。