赤ちゃんがおしゃべりをはじめるのはいつから?言葉の発達や話かけるポイントを解説
おしゃべり
公開日 2023.05.17
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イラスト・ずんこさん
ずんこさん
対象期間
新生児期~3歳頃
赤ちゃんがおしゃべりを始めるのはいつからなのでしょうか。言葉の発達には大きな個人差があり、1歳過ぎからお話が上手な子がいる一方で、3歳を過ぎても片言しかしゃべらないという場合もあります。言葉の遅れを心配していたら急に話し出したということもめずらしくありません。この記事では、赤ちゃんがおしゃべりを始める時期や、言葉の発達、言葉が遅いと感じる場合におしゃべりを促す方法などをご紹介します。【マンガ解説】

マンガ「おしゃべり」

保育園でのお迎え時に
保育士とママが会話している漫画イラスト保育園で保育士とママが面談している漫画イラスト子どもがまだしゃべらないことについて心配するママの漫画イラスト1歳の子どもの言葉の発達には個人差があることを伝える保育士の漫画イラスト生後4か月から3歳頃までの言葉の発達過程のめやすを伝える漫画
イラスト赤ちゃんや子どもが言葉を覚えていく過程を伝える漫画イラストちょうだいとママが言うと物を持ってきてくれる赤ちゃんの漫画イラスト言葉の発達をうながすポイントを教える保育士の漫画イラスト子どもに静かな場所ではなしかけるママの漫画イラスト子どもに絵本を読み聞かせるママの漫画イラスト子どもに噛み応えのある食べ物を食べさせるママの漫画イラストおまめちゃんが映るテレビを子どもと一緒に見るママの漫画イラスト保育士のアドバイスを聞くママの漫画イラスト赤ちゃんを抱っこするパパの漫画イラスト発語の遅れは乳幼児健診時や小児科に相談できることをママが伝える漫画イラスト赤ちゃんにパパママと呼んでもらえるのを楽しみにしている漫画イラスト

赤ちゃんがおしゃべりをはじめる時期は?

おしゃべりのはじまりは個人差が大きい

他の子と比べて「うちの子は言葉が遅れている」と心配するママも多いかもしれません。ですが、1歳過ぎからグングンお話上手になる子がいる一方で、3歳を過ぎても片言しかしゃべらない子もいます。言葉を発するのが遅かったのに、小学校入学の頃には家中で一番のおしゃべりになった、という話も聞かれるほど、個人差が大きいのです。

意味のある単語を話すようになる時期は?

厚生労働省の乳幼児身体発育調査(平成22年)によると、生後9~10か月頃に単語を話すようになる子は10%程度で、1歳頃になると50%に、そして1歳6か月頃では90%以上が意味のある単語を話すようになるそうです。このことから、大人から見て「子どもが言葉(単語)を話すようになった」と感じる時期には大きな個人差があることが分かります。

乳幼児の言葉の発達過程

子どもの言葉の発達は、大きく分けて「言葉を話す力(言語表出)」と「言葉を理解する力(言語理解)」の、2つの側面があります。

言葉を話す力(言語表出)
月齢・年齢発達過程
3~4か月頃笑う
7か月頃喃語を話す(あー、うー、など)
1歳~1歳6か月頃意味のある単語を話す(マンマ、ブーブ、など)
2歳~2歳6か月頃2語文、3語文を話す(わんわん きた、くっく はく、など)
3歳頃自分の名前が言える
言葉を理解する力(言語理解)
月齢・年齢発達過程
3~4か月頃音の出る方向を向く
9か月頃ダメがわかる
1歳~1歳6か月頃簡単な指示がわかる

①新生児

新生児の頃は「お腹がすいた」「眠い」「お尻が気持ち悪い」などを、すべて泣いて訴えます。ママは赤ちゃんの要求が何かを泣き声で判断することが多く、言葉はなくともママと赤ちゃんは自然にコミュニケーションをとります。

②生後1~3か月頃

生後1〜3か月頃にはじまる赤ちゃんの「アー」「ウー」「クー」などといった優しい声を、クーイングといいます。母音からなる発声で、赤ちゃんの機嫌が良いときに出ることが多いようです。

③生後2~3か月頃

赤ちゃんは生後2〜3か月で「アー」「ダー」「ブー」などの喃語(なんご)を出し始めます。クーイングとは少し異なり、喃語の場合は唇や舌を使って少し複雑な音を発します。

④生後5~6か月頃

子音が発音できるようになるのは生後6か月を過ぎてからです。この頃になると「アブブー」「ダーダーダー」と喃語がどんどん盛んになります。音の高低や強弱が変わってきたり、名前を呼ばれて振り向いたりします。

⑤1歳頃

1歳を過ぎると発音の簡単な「パパ」「ママ」や、鳴き声をまねた「ワンワン」「ブーブー」といった単語を言い始めます。単語が徐々に増えていき、1歳6か月頃には2つ以上意味のある言葉(2語文)が言えるようになります。

⑥2歳頃

2歳を過ぎると急に言葉が増えたと感じることが多くなります。「ママ おしっこ」「ワンワン キタ」などの2語文が上手になり、簡単な問いかけにも答えられるようになります。喜んで大人のお話を聞いたり、「これなあに?」など自分から質問をしたり、今まで「ブーブ」と言っていたものを「バス」や「パトカー」と判別して言うようになったりします。

⑦3歳~4歳頃

3歳を過ぎると自分の名前が言えるようになり、子どもの自己主張が強くなっていろいろ要求が盛んになります。「~~と◯◯」「そして」などのつなぎ言葉も覚え、文が次第に長くなっていきます。「なぜ」「どうして」という質問が多くなることから、「なぜなぜ期」と呼ばれることもあります。

生後4か月から3歳頃までの言葉の発達過程のめやすを伝える漫画
イラスト
 

赤ちゃんのおしゃべりを促すには?

赤ちゃんにやさしく語りかけると、赤ちゃんの言葉の発達にとてもよい影響を与えるといわれています。発達レベルに応じた語りかけのコツをご紹介します。

赤ちゃんに話しかけるポイント

赤ちゃんの行動やしぐさに対して丁寧に語りかけることで、赤ちゃんに「あなたに興味がある」「あなたとお話ができて嬉しい」というメッセージを伝えることができます。この感覚が赤ちゃんの自信や意欲につながり、言葉を伸ばすと考えられています。

  • 生後直後から話しかける
  • 静かな場所で語りかける
  • 子どもの興味に合わせる
  • 短い文章で分かりやすく話す
  • ゆっくり大きめの声で、赤ちゃんの言葉や擬音語を繰り返しを使う

避けたほうがよい話しかけ方

逆に、大人の考えを押し付けてしまうような話しかけ方は避けたほうがよいでしょう。

  • 質問にやたらと答えさせようとする
  • 言いなおしをさせたりまねをさせたりする
  • 無理に注意をむけさせる

話しかける時間はどれくらい?

語りかけは昔からの子育ての知恵ですが、1日のうち、5分から10分、出来ることなら30分程度は話しかけてみてください。言葉の数を多くしていく必要はありません。自然な形で語りかけるといいでしょう。

赤ちゃんのおしゃべりを促すその他の方法

赤ちゃんの言葉を引き出すには、以下の方法も有効といわれています。

  • 噛み応えのある食べ物を与える(口の筋肉のトレーニングになる)
  • 絵本を読み聞かせる
  • 言葉以外のコミュニケーションを併用する(身ぶり手ぶりなど)
  • テレビなどの映像を観る時はなるべく一緒に観て話しかける

語彙爆発って?

「語彙爆発(ごいばくはつ)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。1歳半〜2歳頃に子どものおしゃべりがスタートすると、いろんな言葉を覚えて、一気にたくさんの単語をしゃべるようになります。この目覚ましい勢いを、言葉の数が爆発的に増えたという意味で「語彙爆発」と表現することがあります。

赤ちゃんのおしゃべりが遅いときはどうする?

言葉の発達は個人差が大きく、遅れていると思っていても、ある時期を境に急に話し出すことも多々あります。しかし、言葉の遅れの中には病気や障がいが隠れていることも。気になる場合は、原因を調べることが重要です。

言葉の遅れの原因とは?

子どもが言葉を理解できないのか、理解しているが表に出さないのか、または聞こえていないのか、コミュニケーションの問題なのか、様々な観点で原因を探る必要があります。

言葉の遅れの原因となる病気や障がい(一例)

  • 発達性言語障害
  • 難聴
  • 構語障害
  • 自閉症スペクトラム障害
  • 知的発達症(知的障害)
  • 後天性てんかん性失語

乳幼児健診で言葉の発達をチェック

乳幼児健診では、言葉の発達に関する項目もあります。気になる場合は相談してみるといいでしょう。

3・4か月児健診 ※非実施の市区町村もあり

  • あやすと笑うか
  • 声のほうに振り向くか

5・6か月児健診 ※非実施の市区町村もあり

  • ママが名前を呼ぶと振り向くか
  • 話しかけるような声を出すか
  • 声をかけると、泣き止んだりうれしそうな様子をみせるか

9・10か月児健診 ※非実施の市区町村もあり

  • バイバイ、イヤイヤなどのものまねをするか
  • 喃語が出るか
  • 「ダメ」というと手を引っ込めたりママの顔を見るか

1歳6か月児健診

  • 意味のある単語を2~3個以上言うか
  • おもちゃで遊び、簡単な指示に従うか
  • 造語(何を言っているのかわからない発語)を話していないか

3歳児健診

  • 文章を話すか(3語文以上)

5歳児健診 ※非実施の市区町村もあり

  • 発音がはっきりしているか

言葉の遅れを判断するには?

言葉の発達は個人差が大きく、2歳半頃になってやっと有意語が出始めたと思ったら、その後、行動面も全く問題なく追いついていく場合や、3歳のお誕生日を過ぎてわずか2週間から1か月くらいの間に、一挙に単語が出て、あっという間に文章をしゃべり始める、などの場合も珍しくありません。
しかし、以下に当てはまる場合は、言葉の遅れを判断されることがあります。

年齢別の言葉の遅れ

  • 1歳半から2歳で意味のある言葉(有意語)がない
  • 3歳で2語文がみられない

言葉の遅れで受診する目安

発達相談のうち、言葉の遅れは最も多い相談内容ですが、きょうだいの少ない家庭では遅れかどうかの判断が難しいのが現状です。しかし、難聴の場合でも言葉の遅れがみられます。以下の場合も含めて、心配なときは、小児科や子どもの聴力検査ができる耳鼻科専門医に相談してみましょう。
また、保育園や幼稚園から言葉に関しての指摘をされたときは、必ず受診するようにしましょう。

  • 2歳になっても有意語が出ない
  • 意味不明の言語らしいものを話している
  • 発する言葉が聞き取りにくい
  • 3歳で言葉はたくさん出ているが、会話になりにくく、一方的に話す

言葉の遅れ以外で気になる症状

言葉が出ないこと以外に気になる症状があった場合も、医療機関を受診して専門医に相談するとよいでしょう。

音韻の違い

言葉のようなものを発しているものの、音の高さ、イントネーション、リズム、間などに気になる部分が多く、意味が聞き取りにくかったり何を言っているのかわかりづらかったりする場合、言葉以外にも問題があることがあります。
なお、くつした→つくした、テレビ→テベリ、オカアサン→オタアタン、などは幼児期には正常範囲です。

吃音(きつおん:どもること)

吃音とは、最初の音がくり返し出て、話し出すことが難しい状態のことをいいます。幼児期に突然出る場合があります。自然に治る場合と、ずっと持続する場合があります。何か月も続いたり、悪化して話しにくい様子や、話したがらない様子があるなどの場合は、受診の目安にしましょう。

緘黙(かんもく:黙っていること)

お話はできるのに黙っていることを緘黙といいます。家庭ではおしゃべりなのに外では一言も話さないという「場面緘黙」である場合が多く、極端な不安や発達の偏りが背景にあることもあります。外で一言も話さない状態が半年以上続く場合は、受診の目安にしましょう。

まとめ

言葉の発達には大きな個人差があります。周りの子と比べて焦る必要はありません。赤ちゃんのペースを見守り、ときにサポートをしつつ、じっくりと話しかけながら余裕をもって成長を楽しみましょう。 1歳半から2歳で有意語がない場合や、3歳で2語文がみられない場合は、何らかの原因がある可能性もあるため、家庭内で悩まず早めに専門機関に相談してみましょう。


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ずんこさん
ずんこ
タイ在住の日本人漫画家、イラストレーター。 日本でマンガ家アシスタントなどを経験後、シンガポールのローカルアートスクールにてマンガの描き方を教える。現在はタイ・バンコクを拠点にマンガ・イラストの制作をしている。他にも、シンガポールやベトナムのイベントに、マンガ風似顔絵ブースで参加をするなど、マンガを通してさまざまな人達と交流していきたいと活動を広げている。
参考文献
神戸大学 大学院医学研究科・医学部「こどもの言葉と発達の見方・促し方」
https://www.med.kobe-u.ac.jp/pediat/pdf/morisada9.pdf (最終閲覧:2023.5.12)