- 対象期間
- 生後2〜5日 (病的黄疸の場合は長引く可能性がある)
- 費用・価格
- 治療が必要な場合の金額は病院によって異なる
ほとんどは乳幼児医療費助成制度や健康保険で対応可
マンガ「黄疸」
黄疸とは?
黄疸(おうだん)とは、血液中にビリルビンという物質が増えたことにより、皮膚や白目が黄色くなる状態をいいます。
赤ちゃんによくみられる新生児黄疸
黄疸は新生児によくみられますが、新生児黄疸の中でも、赤ちゃんの約90%に起こる生理的黄疸は、自然と治まっていくことがほとんどです。ただし、出現する時期が異なったり、黄疸が長引いたりする場合は、治療が必要になる病的黄疸の可能性もあります。
黄疸はなぜ肌が黄色くなる?
肌が黄色くなる原因は、ビリルビンという物質によるものです。ビリルビンは赤血球の中に含まれていて、赤血球が壊れるとビリルビンが血液の中に出てきます。血液中のビリルビンが多くなると、皮膚や白目の色が黄色くなってきます。
赤ちゃんが黄疸になりやすい理由
生まれたばかりの赤ちゃんは大人よりも血液中の赤血球の数が多く、その分ビリルビンも大量に作られます。通常、ビリルビンは肝臓から腸へ運ばれ、体内に吸収されなかったものは便として外へ出ていきますが、生後すぐは肝臓の機能が未熟なため、ビリルビンの排出がうまくできずに黄疸になりやすいのです。
特に黄疸になりやすい赤ちゃんとは
もともと赤ちゃんは黄疸になりやすいですが、早産児や低出生体重児の場合、身体の水分量が少なく、ビリルビンの排泄能力も未熟なことが多いため、特に黄疸になりやすいといわれています。正期産で生まれた赤ちゃんや、標準体重以上の赤ちゃんに比べると、重度の黄疸になる可能性があるため、注意が必要です。
新生児黄疸にはどんな種類がある?
生理的黄疸
生まれて間もない赤ちゃんの90%にみられる生理的黄疸は、生後3〜5日目がピークで、その後は自然と治まっていきます。
赤ちゃんはママのおなかの中から外へ出ると、呼吸によって酸素が体内に取り込まれ、新しい赤血球が作られはじめます。このとき、赤血球が壊れることでビリルビンが一時的に大量に血液中へ出て、体にたまり、生後2〜3日くらいから皮膚が黄色く見えてきます。新生児の生理的黄疸はある意味、正常な現象のため、治療の必要がない場合がほとんどです。
病的黄疸
赤ちゃんの生理的黄疸が生後2〜3日くらいからみられはじめるのに対し、以下のような時期に黄疸がみられた場合や、ビリルビンの値が正常範囲を超えた場合に病的黄疸が疑われ、治療の対象になります。
生後24時間以内に黄疸が出現した場合(早発黄疸)
血液型不適合が原因の溶血性黄疸(ようけつせいおうだん)の疑いがある。
生後2週間以降に黄疸が出現した場合(遷延性黄疸)
胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)や肝炎などの消化管の病気の疑いがある。
母乳育児の赤ちゃんにみられる黄疸
母乳哺育黄疸
母乳哺育黄疸は、ママの母乳がまだよく出ていない場合や、赤ちゃんのお乳を吸う力が弱い場合など、十分な母乳を飲めていない赤ちゃんに起こる黄疸です。排便回数が少ないため、排泄されるビリルビンが少なくなることが原因になります。生後数日で発生しますが、母乳を飲み続けて、乳の摂取量が増えれば、生後1週間以内に黄疸は自然に消えることが多いです。
母乳性黄疸
母乳性黄疸は、退院後に出現する黄疸の中で比較的多いものです。母乳に含まれるリパーゼという酵素が肝臓の動きを抑えることがあるようで、ビリルビンの代謝に影響して起こるといわれていますが、だからといって母乳をやめることは特に推奨されていません。
赤ちゃんが元気で、体重が増えているようなら、成長と共にビリルビンの分解処理がうまくできるようになり黄疸がおさまってきます。もし、黄疸の症状が続くような場合は、早めに医師に相談しましょう。
治療が必要な黄疸でみられる症状
黄疸がひどくなる場合や、黄疸がおさまらずに以下のような症状が見られる場合は、早めに医師に相談しましょう。
- よく寝る
- 元気がない、泣かない
- 反応が薄い
- 母乳やミルクをあまり飲まない
- うんちの回数が少ない
- うんちの色が白い
- 発熱
黄疸の治療って?かかる費用は?
黄疸の治療の必要性
病的黄疸は、適切な治療を行う必要があります。過剰なビリルビンには毒性があり、治療をせずに放置していると「核黄疸」という病気に移行する危険性があるためです。核黄疸は、ビリルビンが脳細胞に沈着し、神経の麻痺などの後遺症を引き起こす病気です。治療によって血中の過剰なビリルビンを除去し、核黄疸を防ぐことが大切です。
現在、病的黄疸に対しては「光線療法」と「交換輸血療法」の2つの方法で治療しています。どちらの治療法を用いるかは、黄疸の進行度やその他の精密検査の結果を基準に、医師が判断します。
光線療法
黄疸は、一般的には光線療法で治療します。治療に用いる青や緑の光は、ビリルビンを分解し、黄疸を薄くする効果があります。
網膜を守るために目を保護用マスクで覆い、光線の下に裸の赤ちゃんを寝かせます。
光線療法は1回につき24時間
光線療法を行う時間は、1回につき24時間です。光線療法を終えたあと、24時間後にビリルビンの値を確認します。値が上昇することがあれば、もう一度光線療法を行います。
ただし、全ての黄疸に光線療法を行うわけではありません。例えば、胆汁うっ滞がある赤ちゃんに対しては光線療法は行いません。光線治療は一般的な治療法ですが、黄疸の要因に応じて医師が判断します。
交換輸血療法
交換輸血療法は、ビリルビンの値が非常に高く、光線療法で十分な効果が得られない場合に行う治療法です。身体の血液を入れ替えることでビリルビンを除去します。この治療法は概ね2時間ほどで完了します。交換輸血を行っても、ビリルビン値が高いままの場合は、交換輸血を繰り返す必要があります。
黄疸と診断されたら治療はいつから始まる?
出産後、入院中に赤ちゃんが黄疸と診断された場合は、すぐに治療を開始します。経腟分娩で出産したときの入院期間は一般的に5~6日程度ですが、ママが退院する日に赤ちゃんの治療が続いている場合、ママも一緒に入院期間を延ばせる産院もありますが、ママは先に退院して赤ちゃんだけ継続して入院となるケースもあります。後者の場合は、毎日、入院中の赤ちゃんに母乳を届けにいきます。また、赤ちゃんが退院した後も、経過観察のために一週間後などに再度通院し、検査をすることもあるようです。
黄疸の治療にかかる費用はどうなるの?
病院によって異なりますが、黄疸の治療にかかる費用のほとんどは乳幼児医療費助成制度や健康保険で対応できることが多いです。(おむつ代やミルク代など、別途費用がかかるものもあります。)
乳幼児医療費助成制度の申請には健康保険証が必要
黄疸の治療に乳幼児医療費助成制度や健康保険が使えるといっても、新生児黄疸の治療時期は生まれたばかりであることが多く、赤ちゃん自身の健康保険証がまだ発行されていません。そのため、一時的に治療費は全額負担となります。健康保険証の発行後に乳幼児医療費助成制度を申請すれば、治療費は戻ってきます。
助成対象外でも保険適用となるものもありますので、病院に確認しましょう。
また、出産後、赤ちゃんの黄疸治療のため退院が延び、ママも一緒に入院期間を延ばした場合は、ママの入院延長分の費用もかかることになります。
まとめ
生まれたばかりの赤ちゃんは黄疸になりやすいですが、ほとんどの場合は治療せずにおさまり、治療法も確立されているため、過度に心配する必要はありません。ただし、場合によっては重症化してしまうことがあること、治療が遅れると核黄疸という病気に移行してしまう可能性があることも知っておき、退院後も気になる場合は病院を受診しましょう。
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他のマンガにもコメントが届いています。
良かったねー‼︎
大変〜
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ