母親学級・両親学級とは?内容や参加方法、メリットを解説【保健師監修】
ははおやがっきゅう・りょうしんがっきゅう
公開日 2025.03.31
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イラスト・ずんこさん
ずんこさん
対象期間
妊娠中
妊娠すると、母親学級・両親学級の案内を、市区町村や妊婦健診で通っている産婦人科などで目にする機会が増えてきます。プレママ、プレパパが参加すると、妊娠・出産・育児について学ぶことができるほか、助産師さんや保健師さんに心配なことを相談したり、妊婦さんの友達を作ったりすることもできます。この記事では、母親学級や両親学級で学べる内容や、参加するメリット、開催場所や参加方法について解説します。ぜひ参考にしてくださいね。【保健師監修】【マンガ解説】

マンガ「母親学級・両親学級」

「ということで、妊娠後期のママの身体の変化の説明を終わりにしますね」とプロジェクターの前で話す女性の漫画イラスト「何か気になっていることありますか?」と質問する女性、「最近トイレが近くなってきたんです」と答える妊婦の漫画イラスト「私は夕方になると足がむくんでしまって…」と話す妊婦、「立ちっぱなしがきつくてちょこちょこ座りながら家事してます」と話す妊婦の漫画イラスト「トイレが近い、脚がむくむなどは妊娠後期によくあります。家族にも協力してもらってこまめなきゅそくが取れるといいですね」とアドバイスする保健師の漫画イラスト「パパも一緒に妊婦の大変さや育児について学べる両親学級がありますよ」とチラシを渡される妊婦の漫画イラスト「両親学級!これ旦那に是非参加してもらいたい!」と思い、「次の土曜日行きたいところがあるんだけど」と夫に声をかける妊婦の漫画イラスト「夫婦で参加する両親学級というのがあるの」とチラシを夫に見せると「ああ、聞いたことある!」と答えるパパの漫画イラスト「じゃあ予約するね」と言うママ、「楽しみだなー♪」と話すパパの漫画イラスト両親学級当日、部屋に入り見渡す夫婦、「参加者がたくさんいるね」と話している漫画イラスト「この前母親学級でお会いしましたよね?予定日はいつなんですか?」と声をかけてくる女性、「9月末の予定です」と答えるママの漫画イラスト人形をもって「今日はお人形を使って、妊娠・子育てについて学んでいきましょう」と話す保健師、おむつ替え、沐浴、妊婦体験などをしている漫画イラスト沐浴マットを手に取り「沐浴グッズってこんなのもあるんですね」と驚くママ、「うちはまだ何も買っていなくて…」と話す妊婦の漫画イラスト「おむつ替えって結構難しいんだなあ」「お腹に10キロ抱えて動くの大変でしたね」などと話すパパ達の漫画イラスト「パパの皆様、父親学級もありますよ、土日開講でおひとりでも参加できます」と話す保健師、「何をするんですか?」と質問するパパの漫画イラスト「出産時や育児でパパが即戦力になれるような講習・実技があります」と説明する保健師、「即戦力いいですね!」と目をキラキラさせるパパの漫画イラスト「ひとりで父親学級に参加してみようかな」「うちも妻が体調が良ければ参加したいと思います!」などと話すパパたちの漫画イラスト「なんだかパパたちがやる気になっている…」「両親学級に参加してよかった」などと話すママたちの漫画イラスト

母親学級・両親学級とは?

母親学級・両親学級とは、主に妊娠出産の知識や、妊娠中の妊婦さんの体調管理、赤ちゃんのお世話の実演指導などをしてくれる講座のことです。お住まいの市区町村や、病院・産院、民間企業などが開催していて、医師、助産師、保健師、看護師、管理栄養士といった専門家に直接アドバイスをもらえたり、相談したりすることもできます。
最近ではオンラインで開催している教室もあり、国の母子保健対策の中でも、両親学級のオンライン実施やSNSを活用したオンライン相談などの多様な相談支援、母子保健に関するデジタル化などを行うことで、地域の実情に応じた支援体制等の強化を図ることが進められています。

母親学級と両親学級にはさまざまな呼び名がある

母親学級や両親学級は、主催者が市区町村、産院、民間企業などさまざまなため、「マタニティスクール」「パパママ教室」「プレママ・プレパパセミナー」「マタニティレッスン」など、複数のネーミングがあります。妊娠・出産・育児について教えてもらえる場ですが、細かい内容や対象者が異なりますので、参加を希望する場合は事前に確認してから申し込みをしましょう。

母親学級と両親学級の違いは?

以前は、妊娠・出産・赤ちゃんのお世話について学ぶ場は、実際に出産する妊婦さん向けの「母親学級」が主流でした。しかし、最近では夫婦で育児に取り組むことの大切さから、プレママだけでなくプレパパも対象にした「両親学級」も増えてきています。両親学級では、プレパパが重りのついたエプロンを装着する「妊婦体験」ができたり、赤ちゃんの人形を使って赤ちゃんのお風呂(沐浴)について学ぶ「沐浴体験」ができたりなど、妊娠した女性の身体の変化や、出産から赤ちゃんのお世話のやり方をパートナーも体験できるような取り組みがされています。

おむつ替え、沐浴、妊婦体験をしているイラスト

妊娠中の心と身体に起こる変化は、妊婦さん自身も知らないことが多く、初めての妊娠の場合は特に心配や不安も大きいもの。両親学級では、そんな妊婦さんの気持ちを、パートナーにも知ってもらえる良い機会になります。
また、立ち会い出産が可能な産婦人科では、立ち会い者にも分娩時の呼吸法や出産の流れを学んでもらうため、両親学級への参加が必須という場合もあるようです。

母親学級・両親学級の開催場所や参加方法は?

どこで開催しているの?

母親学級や両親学級は、主催が市区町村であれば保健所や保健センターなどの公共施設、産院であれば出産予定の病院や産院、民間企業が主催の場合は育児用品メーカーの店舗やデパートの店内などで開催されています。また、最近ではオンラインで開催している教室もあり、自宅で受講できる場合もあります。

参加は必須?

母親学級や両親学級は必ず参加しなくてはいけないというわけではありません。しかし、妊娠中の心と身体に起こる変化は、妊婦さん自身も知らないことが多く、初めての妊娠の場合は戸惑うことも多いもの。妊娠・出産・育児についてしっかりと基礎知識を学ぶことが安心にもつながり、また、両親学級では妊婦さんの気持ちをパートナーにも知ってもらえる良い機会になりますので、初産の場合はできるだけ参加することをおすすめします。

「おむつ替えって結構難しいんだなあ」「お腹に10キロ抱えて動くの大変でしたね」などと話すパパ達の漫画イラスト

体調優先で参加を

妊娠中に一度は参加しておきたい母親学級・両親学級ですが、何より優先すべきは妊婦さん自身の体調です。妊娠中は、お腹の張りなどの急な体調不良やトラブルはつきもの。体調がすぐれない場合は、他の日に行われる講座に参加したり、資料を読んだり、動画を視聴したりなどで得られる知識も多いので、開催日当日でもキャンセルするようにして、無理をしないようにしましょう。

予約は必要?

母親学級や両親学級は定員が設けられている場合が多いです。電話やWebでの予約、はがきなど郵送での申し込み、産院で開催される場合は妊婦健診の際に直接申し込むなど、予約方法は主催している市区町村や病院、産院、企業などにより異なりますので、参加を希望する場合は申し込み内容を確認しましょう。

参加する時期は?

母親学級や両親学級に参加する時期は、教室によって異なります。一般的には、体調が安定してくる妊娠中期頃が多く、「妊娠5か月〜8か月の方」「初めてお産をする方とそのパートナー」など、妊娠週数や対象者が限定されている場合もあります。妊娠週数に合った講座に参加すると、その時期特有のマイナートラブルや心配ごとを相談しやすいほか、少し先の見通しが立てられたり、妊娠週数が近い友達ができたりなどのメリットもあります。

両親学級当日、部屋に入り見渡す夫婦、「参加者がたくさんいるね」と話している漫画イラスト

費用はかかる?

市区町村や出産予定の病院や産院で行われる母親学級・両親学級は、無料で実施しているところがほとんどです。育児グッズを取り扱うお店やベビー用品ブランドなどの民間企業が実施している場合、無料の講座もありますが、数千円程度の料金がかかるところも。有料講座ではマタニティヨガやベビーマッサージなどの特別な講座も受けられたり、プレゼントや育児用品の販売があったりなど、企業ならではの特典もあるようです。

母親学級・両親学級で学べる内容は?

母親学級や両親学級では、具体的にどのようなことを教えてもらえるのか、一般的な例をご紹介します。

内容

講座の詳しい内容は主催者によって違いますが、主に以下のような内容を学ぶことができます。

など

両親学級では、パートナーに向けた内容もあります。

  • 赤ちゃんの人形を使った沐浴体験やおむつ替え体験
  • 重りのついた「妊婦ジャケット」を着用しての妊婦体験
  • 赤ちゃんを迎える心構え

など

実際に出産予定の産院や、有料の講座などでは、以下のようなプログラムが用意されている場合もあります。

  • マタニティヨガ、マタニティビクス
  • ベビーマッサージ
  • 陣痛室・分娩室などの施設見学
  • 育児グッズや育児用ミルクの展示、サンプルプレゼント
など

主催者によって内容はさまざまなので、予約前に内容を確認しましょう。

母親学級・両親学級の持ち物

持ち物の指定が特にない場合でも、母子手帳、筆記用具、飲み物は持っていくといいでしょう。講座によっては、タオルや着替えなどが必要になる場合もあるので、申し込み内容に記載された持ち物をよく確認して出かけましょう。

受講回数、受講時間

母親学級や両親学級は、2時間程度の講座を1回のみ受講するものから、各テーマごとに1回2時間前後の講座を2〜5回に分けて実施されるものまで、さまざまです。また、平日は仕事などで参加できない場合も、土日に開催している講座もあるので探してみましょう。

オンライン開催や動画配信なら気軽に参加が可能

対面で行われる母親学級や両親学級が主流ですが、Zoomなどを利用したオンラインでの開催も増えています。また、動画配信サービスで情報を提供している市区町村や産院、企業もあるので、妊娠・出産について学びたいのに時間が取れない、忙しくてスケジュールが合わない、体調がすぐれずリアル参加が厳しいという方にとっては、いつでも気軽に視聴できるのでおすすめです。詳しく知りたいポイントを復習できるのも動画配信のメリットなので、家族のライフスタイルに合わせて受講してみましょう。

母親学級・両親学級に参加するメリット

母親学級や両親学級は、妊娠中に必ず参加しなければならないというものではありませんが、参加することで以下のようなメリットが考えられます。

  • 妊娠・出産・育児に関する最新の知識が得られる
  • 出産時の呼吸法や、母乳マッサージのやり方などを教えてもらえる
  • 出産や育児に向けて心の準備ができる
  • 分娩時の流れがイメージできる
  • 医師、助産師、看護師、保健師、管理栄養士といった専門家に直接質問できる
  • 妊娠週数が近い友人ができ、情報交換や不安・悩みの共有ができる
  • パートナーも一緒に妊娠・出産・育児への理解を深めることができる
など

まとめ

母親学級や両親学級では、出産や育児について役立つ情報をたくさん得ることができます。プレママ・プレパパにとっては、出産や育児についての心配事や不安の解消につながったり、パートナーも妊娠出産について学べて気持ちを共有できたり、妊婦友達ができたりなど、メリットも多いもの。安心して出産を迎えられるように、体調と相談しながら、ぜひ母親学級や両親学級に参加してみてくださいね。

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保健師・シホさん
保健師・シホ
10年以上にわたり自治体保健師として感染症や母子保健などの業務に従事し、多くの住民に寄り添い支援を行う。他にも、病院看護師としての臨床経験や学校保健師としての業務経験など、幅広く公衆衛生に従事する経験を持つ。現在、一人娘を育てながら、ICTを使ってより多くの人々の健康支援に寄与できるよう、育児コラムの編集・監修などにも活動を広げている。趣味は映画鑑賞。
ずんこさん
ずんこ
タイ在住の日本人漫画家、イラストレーター。 日本でマンガ家アシスタントなどを経験後、シンガポールのローカルアートスクールにてマンガの描き方を教える。現在はタイ・バンコクを拠点にマンガ・イラストの制作をしている。他にも、シンガポールやベトナムのイベントに、マンガ風似顔絵ブースで参加をするなど、マンガを通してさまざまな人達と交流していきたいと活動を広げている。
参考文献
さいたま市「出産前教室」
https://www.city.saitama.lg.jp/007/001/007/index.html(最終閲覧:2025/3/19)
新宿区「母親学級・両親学級」
https://www.city.shinjuku.lg.jp/soshiki/ushigome-h01_001000.html(最終閲覧:2025/3/19)
大阪市「プレパパ・プレママのための育児セミナー」
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000368274.html(最終閲覧:2025/3/19)
こども家庭庁 「母子保健関係概算要求資料 P17 母子保健対策強化事業」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ff673203-8ac4-43c9-816b-31ef86ad50f4/62e02f7c/20230919_councils_shingikai_seiiku_iryou_ff673203_ref5.pdf(最終閲覧:2025/3/19)

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