イラスト・ずんこさん

マンガ「前駆陣痛」

前駆陣痛とは？

前駆陣痛（ぜんくじんつう）とは、おもに妊娠後期（特に妊娠36週以降）に起こる不規則なお腹の張りや痛みのことです。

前駆陣痛はなぜ起こるのか

前駆陣痛は、子宮の収縮（『ブラクストン・ヒックス収縮』とも呼ばれる）によって起こります。妊娠後期になると、子宮は赤ちゃんの通り道を柔らかくするために自然と筋肉を収縮させます。つまり、分娩に向けてお母さんの身体がゆっくりと準備を始めているのです。

また、激しい運動後や水分不足の場合などにも、前駆陣痛が生じやすいといわれています。このような場合、お腹の赤ちゃんにストレスがかかります。そのため、子宮の収縮・弛緩によって血流を調整し、お腹の赤ちゃんへの血流を保っています。

前駆陣痛の感じ方は個人差が大きい

前駆陣痛は個人差が大きく、一度も前駆陣痛を感じないまま本陣痛が来る人もいれば、妊娠中期から痛みを感じ始める人もいます。前駆陣痛がなかったり、時期が早かったりしても過度に心配する必要はありません。

これは前駆陣痛？本陣痛との違いは？

前駆陣痛の特徴

痛みの間隔が不規則

前駆陣痛は、痛みの間隔が「不規則であること」が最大の特徴です。お腹の痛みや張りを感じ始めたら、“痛みの始まり”から“次の痛みの始まり”の間隔を記録してみましょう。間隔が10分以上であったり、規則的だったりしていなければ、その痛みは前駆陣痛の可能性が高いです。

痛みが次第に治まる

前駆陣痛の場合は、本陣痛と異なり、痛みは次第に治まっていきます。休憩してみて痛みが遠のくようであれば、まだ病院に行く必要はありません。しかし、前駆陣痛が始まって数日で本陣痛に移行することも多いため、早めに入院の準備をしておきましょう。

前駆陣痛ってどんな痛み？

前駆陣痛で最も多い症状は「生理痛のような痛み（下腹部痛）」です。それ以外にも痛みの感じ方や場所は様々なうえ、その時々によって痛みが異なるため、前駆陣痛なのか本陣痛なのか判断できず、不安になる妊婦さんも多いようです。ここでは、前駆陣痛を経験したママたちの声をご紹介します。

月イチの不快感が再び！？ 生理痛のような痛み

つらい生理痛のような痛みが起こり、本陣痛への不安を高めてしまうママさんも…。

「朝4時くらいにおしるしがあり、お腹に生理痛のような痛みが。いよいよ陣痛！？と思って病院に電話したものの、まだ日常生活ができる程度の痛みだったので、一旦自宅で様子見になりました。お昼寝したら症状が軽くなり、痛みも不規則。病院のいう通り、まだまだ本陣痛ではなさそう…。」

「前駆陣痛なのか本陣痛なのかよく分からない痛みが続いていて、気になって全然寝られなーいっ！」

「お腹がキューって張って、子宮をギュッと絞られるような、つらい生理痛のような痛みが。軽く冷や汗かくくらい辛いけど、まだ耐えられるレベル…。これが噂の、フェイントの前駆陣痛ってやつなんだろうなぁ…。」

骨が砕けちゃいそう！？ 強い腰痛

赤ちゃんの頭が腰骨を圧迫することにより、腰痛を発症する場合もあるとか。眠れないほどの痛みが夜に来ると、辛さも倍増しますよね…。

「腰骨が砕けそうな痛みが、20分とか10分とか1〜2分とか、不規則な間隔で起こる。はじめてで勝手がわからず、どこまでガマンするのが正解？分からないからひたすら耐える。もう２日間この状態。全然眠れぬ。」

「頻尿と腰の痛み、激しい胎動で全然落ち着かない…。恥骨と足の付け根も痛い！上の子がいなければ横になって休もうって思うけど、そうもいかないのが２人目妊婦のつらいところ…。」

あんまり痛くないけど前駆陣痛？

あまり強くない痛みの場合、前駆陣痛かどうか判断がつかないことも。けれど、前駆陣痛かな？と思っている間に本陣痛がくることもあるので、油断は禁物です。

「3週間くらい前から膀胱のあたりをギューってつねられてる感覚があって、赤ちゃんがつねってる？て思ってたけど笑、調べたらこれが前駆陣痛ってやつらしい！」

「妊娠後期だけどあまりにも前兆がなくて、ちょっとしたお腹の違和感を『これが噂の前駆陣痛！よしっ前駆陣痛だ！』って思い込みたくなってる。」

前と違う！ 経産婦さんの前駆陣痛

初産のときの前駆陣痛はすごく痛かったのに、今回は痛くなかったり、前回なかった痛みがあったりなど、パターンはさまざま。前駆陣痛は赤ちゃんによって異なりますので、その点は過度に不安になる必要はありません。

「1人目の時は恥骨痛も無かったし、前駆陣痛も無かったし、出産までめちゃくちゃ元気だったのに、2人目しんど過ぎる…なにこれ…。」

「上の子の時は不安で、前駆陣痛でフライング入院したけど、下の子の時は本陣痛の時にも『まだ大丈夫』ってスマホゲームしてました笑。まだ耐えられそうだけど、まあ一応病院行くか～って行ったら、その時点で子宮口９センチ大！病院に着いて一時間で出産。危なかった…。」

前駆陣痛の痛みを和らげる方法

前駆陣痛の痛みは次第に落ち着くといわれますが、痛みに耐えている時間は、どうしても不安になりますよね。落ち着いてゆっくり安静に過ごすようにしましょう。

痛みを感じたときの対処法

• 　ゆったり深呼吸を繰り返す
• 　座ったり横になったりして、楽な姿勢で休む
• 　横向きになってクッションをひざの間に挟む
• 　四つん這いになる
• 　動けるようであれば、姿勢を変えたり歩いたり身体を動かしてみる
• 　眠れるようであれば、眠る

受診のタイミングは？

妊娠後期になると、子宮の収縮が頻繁に起こりやすく、下腹部が痛くなって陣痛が来たかのように感じることがあります。特に初産の場合は、そんな前駆陣痛と本陣痛を間違いやすく、慌てて病院へ駆け込んだものの、すぐに自宅へ戻ることになったという話もめずらしくありません。

落ち着いて時間を測り、判断に迷う場合は病院へ連絡して相談しましょう。

ただし、持続的な痛みがある、激しい痛みとともに大量の出血（鮮血）があるなど、異常を感じたらすぐに病院に連絡してくださいね。

まとめ

前駆陣痛は本陣痛と区別がつきにくく、症状も個人差が大きいため、不安になることも多いと思います。しかし、痛みの有無や時間を、他の妊婦さんと比べて過度に心配する必要はありません。赤ちゃんもママの身体も出産に向けて準備をしている途中なので、ゆっくり休んで様子を見ましょう。
不安が大きい場合や、何か異常を感じた場合は、すぐに病院に相談してくださいね。

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