- 対象期間
- 妊娠22週0日から36週6日まで
- 費用・価格
- 受診費用:数千円程度
入院・治療費用:数万円~数十万円程度
※入院日数や症状による
マンガ「切迫早産」
切迫早産とは?
妊娠22週0日から36週6日の時期に早産のおそれがある場合を「切迫早産(せっぱくそうざん)」といいます。「切迫」は「差しせまった」という意味ですが、切迫早産とは具体的にどのような状態を指すのか、早産と切迫早産の違いについて詳しくご説明します。
「切迫早産」と「早産」の違いは?
切迫早産とは
切迫早産は、妊娠22週0日から36週6日の妊娠で、持続的な腹痛や出血がある、子宮頸管長が短い、子宮の出口(子宮口)が開きかけるなど、早産となる危険性が高いと考えられる早産の一歩手前の状態のことをいいます。
早産とは
早産とは、妊娠22週0日から36週6日で赤ちゃんが生まれることです。早産は全妊娠の約5%に起こり、その原因の多くは細菌による感染や妊婦さんの体質によるものです。正期産よりも早く生まれた赤ちゃんほど身体機能が未熟であり、出生後に長期の治療が必要になったり、あとで重篤な障がいが起こる可能性が高くなります。そのため、早産は予防と早期診断が何よりも重要です。
早産の赤ちゃんの生存率
早産の赤ちゃんの生存率は、在胎週数が長ければ長いほど上がり、妊娠26週、27週には約90%にもなります。赤ちゃんにとっては、一日でも長くお腹の中にいて、正期産を迎えたいところです。
切迫早産の兆候・症状、受診の目安
切迫早産は自覚症状がない場合もありますが、確認できる兆候もあるため、自分の身体の異変に気がつくことが重要です。切迫早産の兆候や症状、病院を受診する目安をご説明します。
切迫早産のサイン①子宮頸管長が短い
子宮頚管とは、子宮の入口のことで、この子宮頚管長が短いと早産のリスクが高くなります。子宮頚管長は、妊娠18~24週の間の妊婦健診で経腟超音波検査で測定します。
切迫早産のサイン②茶褐色や黄色のおりもの
妊娠中は、女性ホルモンの影響で一般的におりもの量は増えると言われています。切迫早産のリスク要因である、膣炎や頸管炎などが起きている場合は、おりものは茶褐色や黄色になります。おりものの状態が気になる場合は、妊婦健診などで医師に相談しましょう。
切迫早産のサイン③おなかの張り
通常、子宮は柔らかい状態ですが、子宮が石のように固くなっていることがあり、この状態を「おなかが張っている(子宮収縮)」といいます。おなかの張りは、たいていの場合、横になって少し休むと治まりますが、おなかがずっと張っていたり、張る回数が多い場合には、切迫早産の可能性があり注意が必要です。
切迫早産のサイン④腰のだるさ
妊娠中は、お腹が大きくなり腰に負担がかかるため、腰痛を発症しやすい状態です。そのため、腰痛や腰のだるさがあるからといって、一概に切迫早産になっているとはいえませんが、腰のだるさ以外にも、気になる症状があれば医師に相談しましょう。
切迫早産のサイン⑤出血
鮮血が出た場合は、切迫早産に限らず、すぐに医療機関を受診してください。
切迫早産の治療
どんなに気を付けていても、切迫早産になってしまうことはあります。切迫早産になったらどうしたらよいのでしょうか。切迫早産と診断された際の対処法、治療についてご紹介します。
自宅で絶対安静
切迫早産の治療の基本は安静です。症状が軽い場合は、一定期間自宅で安静に過ごすよう言われることが多く、食事やトイレ以外は横になり、お風呂もシャワーのみで済ませます。家事や仕事も、もちろんできません。仕事を休む際には、医師の診断書や母性健康管理指導事項連絡カードを活用すると、職場への報告がスムーズです。
管理入院
子宮収縮が強い、子宮口が開きそうなど切迫早産の症状が重い場合は、診察後にそのまま入院となるケースが多いようです。入院中は絶対安静で、張り止め(子宮収縮抑制薬)の点滴治療などを受けることがあります。管理入院は、数週間~数か月と長くなるのが一般的です。また、もし上に子どもがいる場合、自宅にいると安静にできないことから、早産に進行させないために入院を勧められることもあります。長期に渡る入院となるため、家族や医師と相談し、対応を決めるとよいでしょう。
抗菌薬の服用
細菌感染が原因の切迫早産の場合は、抗菌薬を服用し、早産を防ぎます。
子宮頸管縫縮術
切迫早産の原因が、子宮口が開きやすい状態である子宮頸管無力症の場合には、子宮頸管をしばる縫縮(ほうしゅく)手術を行ないます。この場合も、入院して手術を受けることになります。
切迫早産の予防方法
切迫早産は環境や体質も含め、複合的な要因があるため、確実に防ぐことは難しいのが現状です。少しでもリスクを軽減するために、日常生活では以下の8つの事項を意識し、予防に努めましょう。
切迫早産の8つの予防方法
- 疲れたら無理をせず、すぐに休憩をする
- 免疫力が下がらないよう、規則正しい生活を送る
- 転倒や事故に気を付ける
- 定期的に妊婦健診を受け、切迫早産の早期発見につなげる
- 妊婦さんはもちろん、同居家族も喫煙をしない
- ウイルス感染への予防をする(手洗い・うがい・マスクの徹底、むやみに人が多い場所に行かないなど)
- 外陰部は清潔に保ち、膣からの感染症を防ぐ(排便時は前から後ろに拭く、温水洗浄器の使いすぎに注意する)
- 性行為の際はコンドームを着用する
切迫早産で入院した際の保険や手当金について
切迫早産の状況により管理入院となった場合は、状況に応じて数週間から数か月の入院が必要になることがあります。働いている方は休業せざるを得ず、収入面でも心配になりますよね。知っておくと安心できる、切迫早産で入院した際の保険や手当金についてご紹介します。
切迫早産は健康保険が適用される
切迫早産の入院費は健康保険が適用になります。また、民間の医療保険に加入している場合も、重度のつわり、切迫早産や帝王切開などによる入院は給付の対象となります。ご自身で加入している保険があれば、内容を確認してみましょう。
高額療養費制度について
切迫早産は、保険適用があるとはいえ、入院が長期化すると医療費も高額になります。その場合は「高額療養費制度」を使うことで、支払った医療費のうち、保険適用の上限である自己負担限度額を超えた分が後日払いで戻ってきます。自己負担限度額は所得や年齢などによって決まります。
高額療養費制度の手続き
健康保険に加入している場合は、健康保険組合に申請書を提出します。自治体の国民健康保険に加入している場合は、お住まいの市区町村の窓口か、郵送での手続きが必要になります。事前に、加入中の保険に限度額適用認定証の交付を申請しておくと、窓口での支払いは自己負担限度額までで済みます。切迫早産では急な入院となる事も多いもの。自分で手続きすることが難しい場合は、家族に協力してもらいましょう。
休業時の傷病手当金について
切迫早産で入院することになり、仕事を休んでいる間は職場から給与が支払われないことが多いです。会社員やパートの方は、支給要件に該当すれば、傷病手当金を休業4日目から受け取ることができます。出産手当金と傷病手当金の支給期間が重複する場合は、出産手当金が優先されます。
※個人事業主の方は対象外です
まとめ
切迫早産は妊娠時に多いトラブルのひとつです。環境や体質など、さまざまな要因によって起こるため、完全に予防することは難しいのが現状です。切迫早産に限らず、妊娠中は無理をしないこと、ウイルス感染や感染症の予防に努めること、妊婦健診を定期的に受けること、たばこを吸わないことなどが重要です。もし切迫早産で入院となった場合には、加入中の保険や、傷病手当金、高額療養費制度などが利用できることもありますので、内容を確認し、かしこく活用しましょう。- Post
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