- 対象期間
- 生後2か月~12歳
- 費用・価格
- 定期接種の場合は無料/任意接種の場合は全額自己負担
※自治体によっては、任意接種を公費負担していることもある
※必要に応じて医療機関での診察代が発生
マンガ「予防接種(全体版)」
予防接種がはじまったワケ
予防接種のはじまり “罰則のある義務接種”
第二次世界大戦後、感染症による死者が多発したことなどから、1948年に「予防接種法」が制定されました。“罰則のある義務接種”が開始され、感染症による死者は激減しました。
副反応が問題に “罰則なしの義務接種”から“努力義務”へ
1960年代半ばからワクチンの副反応による健康被害が社会問題化されはじめます。これを受け、予防接種は“罰則なしの義務接種”へ変わりました。さらにその後も見直しが行われ、現在では“努力義務規定(予防接種を行うよう努める)”になっています。
接種方法がかわる “集団接種”から “個別接種”へ
接種形態も、日時を定めて実施されていた「集団接種」から、かかりつけ医が個人の健康状態をチェックしたうえで接種する「個別接種」へと移り変わました。現在では「個別接種」が原則となっています。
「定期接種」と「任意接種」の違い
予防接種は「定期接種」と「任意接種」の2つがあります。
定期接種とは
法律に基づいて市区町村が主体となって実施する予防接種です。定期接種の期間中であれば費用は公費負担で、無料であることが多いですが、一部で自己負担がある場合もあります。
任意接種とは
希望者が各自で受ける予防接種です。費用は自己負担ですが、自治体によっては一部公費負担がある場合もあります。
※市区町村が実施する予防接種の種類や補助内容の詳細については、市区町村などに確認しましょう。
任意接種から定期接種に変わったもの
予防接種は、厚生労働省の専門委員会で検討され、任意接種だったものが定期接種になったり、接種回数が見直されたりしています。近年、任意接種から定期接種になった予防接種は以下のとおりです。
- Hib(ヒブ) / 小児用肺炎球菌
2013年4月1日~
※Hib(ヒブ)ワクチンは2024年4月に五種混合ワクチンの中に含まれるようになりました。(定期接種) - 水痘(みずぼうそう)
2014年10月1日~ - B型肝炎
2016年10月1日~ - ロタウイルス
2016年10月1日~
代表的な任意接種
現在、主な任意接種は「インフルエンザ」と「おたふくかぜ」です。任意接種であっても、ワクチンで病気を防げることに変わりありませんので、その病気に罹患したときのリスクを踏まえて、接種するかどうかを判断しましょう。
ワクチンについて
ワクチンは、感染症の予防接種に使用する薬液のことです。あらかじめ病原性(毒性)をなくしたり、弱くしたりした病原体(ウイルスや細菌)を体内に入れ、免疫をつくることで、病気を予防することができます。
ワクチンの種類
ワクチンの種類には、以下のようなものがあります。
最近では、mRNAワクチンという、新しいワクチンが開発されました。ウイルスなどの病原体は自分自身を構成するタンパク質をつくるための遺伝情報を持っています。この遺伝情報の一部を注射することで、体内でウィルスを構成するタンパク質に対する抗体が作られます。それにより、ウィルスへの免疫をつけるというものです。直近では、新型コロナウイルスに対するワクチンがこの方法で開発されています。
接種方法
ワクチンの接種方法には、以下の3種類あります。
①注射(皮下注射または筋肉注射。BCGは経皮接種であり、スタンプ方式)
②経口(ワクチンを口から飲む)
③経鼻(鼻からスプレーを噴霧)
副反応
副反応は、ワクチン接種によって起きる、免疫の付与以外の好ましくない反応のことです。症状は実際に病気にかかるよりもはるか軽いので、怖がる必要はありません。
- 接種部位の腫れ
- 発熱(接種した当日~1 週間以内)
- 発疹
- 不機嫌、食欲不振
接種後30分は急な副反応が見られる可能性があるため、病院によっては院内で待機するように言われることがあります。接種後に病院を出る場合でも、何かあればすぐに受診できるところにいましょう。
予防接種のスケジュール
予防接種は接種できる月齢/年齢や回数、接種間隔が決まっているので、スケジュールを立てる必要があります。このスケジュールは、例として母子健康手帳にも記載されています。小児科によって、子どもごとの予防接種のスケジュールを作成してくれる場合があります。
予防接種の種類と基本的なスケジュールは以下の通りです。
※日本脳炎は一般的に3歳から接種を開始し、9~10歳ごろに打ち終わります。
接種間隔について
2020年10月1日から、接種間隔の制限は「注射生ワクチンのあとに注射生ワクチンを接種する場合、27日以上あける」のみになっています。
同時接種について
同時接種とは、2種類以上の予防接種を同時に行うことです。
同時に複数のワクチンを接種しても大丈夫?
同時接種した場合でも、ワクチンの有効性への影響や健康被害や副反応などのリスクは、単独接種と変わりません。現在の定期接種スケジュールでは、0歳で接種するワクチンの回数は10回以上にもなり、注射の生ワクチン同士の接種は、接種間隔を27日以上あける必要があります。同時接種をせずに対象年齢内にすべての接種を受けることは難しいことから、赤ちゃんが病気に罹るリスクを早期に減らすことができる同時接種が有効とされています。
医師と相談しながら効率的な予防接種を
同時接種は、必要な免疫を早くつけて子どもを病気から守ることができ、通院の回数も少なくなるのでパパやママの負担軽減にもなります。
なお、国は『医師が特に必要と認めた場合に同時接種できる』としているため、医師の判断で同時接種ができない場合もあります。予防接種の際は、かかりつけ医とよく相談して、予診票などに記載されている説明をよく読み、必要性や副反応について事前によく理解しておきましょう。
予防接種を受けるときの持ち物
かかりつけの病院で予防接種を受けるときの持ち物をご紹介します。
※集団接種の場合は、自治体の案内に従います。
- 予防接種問診票
- 母子健康手帳
- 健康保険証
- 乳幼児医療費助成の受給者証
定期接種の場合、自治体から予防接種問診票の書類が前もって送付または冊子を手渡しされることが多いです。紛失や汚した場合はかかりつけの病院に相談しましょう。
予防接種を受けると、母子健康手帳に記録(接種日、ワクチンメーカ/ロット番号、接種者署名)されますので、毎回忘れずに持参しましょう。
また、海外などで予防接種を受けた場合は、予防接種の証明書・履歴票も持参するようにしましょう。
予防接種を受けられない場合は?
接種予定の当日、発熱している(37.5℃以上の)場合は、予防接種は受けられません。その他の体調不良などの場合も、医師の判断により当日に予防接種ができない場合があります。そのような場合は、体調が回復した後、改めて予防接種を行います。
予防接種をしなかったらどうなる?
予防接種には2つの役割があります。「個人を守ること」と「社会を守ること」です。
前提として、感染した場合の重症化リスクが高いため、予防接種の対象になっています。
個人を守ること
予防接種で免疫をつくることで、その感染症の発症もしくは重症化を防ぐことができます。予防接種を受けずにその病気に罹患してしまうと、重症化してしまうリスクが高まり、重い後遺症が残ったり、場合によっては命を落としたりしてしまう可能性があることは、理解しておきましょう。
社会を守ること
多くの人が予防接種を受け、免疫がつくられていると、集団の中に感染患者が出ても流行を阻止することができる「集団免疫効果」が発揮されます。流行を押さえることで、アレルギー等がありワクチンを接種することができない人を守ること=社会を守ることにもつながります。
対象年齢内に予防接種を受けられなかった場合
基本は任意接種として接種する(例外あり)
定期接種を対象期間内に接種できなかった場合は、基本的に任意接種として予防接種することになります。
特別な事情がある場合は、特別措置あり
長期の療養が必要な病気に罹ったなどの理由で接種ができなかった場合には、特別措置の制度があります。子どもの場合、特別な事情がなくなった日から2年間は、公費で予防接種を受けることができます。
なお、「特別な事情により定期接種を受けることができなかったかどうか」については、自己申告ではなく、病気に罹っていたことや、やむを得ず定期接種を受けることができなかったと判断した理由等を記載した医師の診断書や当該者の接種歴等から、市区町村によって総合的に判断されます。
特別な事情がない場合は、任意接種
特別な事情がなく、接種の対象年齢を過ぎると「任意接種」となり、接種する場合は全額自己負担(保険適用なし)となります。接種の料金は医療機関へお問い合わせください。
特別な事情の有無にかかわらず、予防接種はワクチンによって、接種する年齢の上限があります。特別な事情があった場合でも、上限年齢を超えている場合は公費で接種することはできません。
接種対象年齢を過ぎた場合、万が一のとき「補償」にも差が出る
予防接種を安心して受けられるよう、万が一の健康被害に対して補償する制度があります。定期接種の対象年齢が過ぎてしまい、任意接種として受けた場合、万が一、健康被害が生じた時の補償内容に違いが生じることも覚えておきましょう。
定期接種の補償
定期接種後に重い副反応が起こり、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定すると、予防接種法による救済措置を受けることができます。(予防接種健康被害救済制度)
例えば、「定期接種」を受けたことで、不幸にも子どもが死亡することがあれば、予防接種健康被害救済制度により、4,530万円(令和5年4月現在)※が支払われることになっています。
※救済措置の給付額は約2年ごとに見直されています。
任意接種の補償
任意接種(定期接種になっていないものと定期接種の対象年齢を過ぎてからの接種)の場合、健康被害が生じたときは、予防接種法ではなく「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」という法律に基づく給付を受けることになります。「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」では、子どもの死亡時の給付額は754万2,000円(令和5年4月現在 遺族一時金)※です。
予防接種による健康被害は極めて稀ですが、リスクはゼロではありません。金額の問題でないかもしれませんが、対象年齢を過ぎ、任意接種となってしまうと、これだけの差が生じることは、知っておきましょう。接種対象年齢のうちに「定期接種として受ける」か、過ぎてから「任意接種として受けるか」ということには、実は大きな違いがあるのです。
※申請に必要となる手続き等については、予防接種を受けられた自治体へ問い合わせましょう。
まとめ
予防接種は生後2か月から始まります。種類も多く、スケジュール管理も大変ですが、免疫力の低い赤ちゃんを守るために大切なものです。予防接種について、接種することで防げる病気についてはもちろん、万が一の場合のリスクも含め、関する正しい知識を事前に身につけておきましょう。
- 赤ちゃんの予防接種による副反応とは?対処法についても解説!【保健師監修】
- 副反応という言葉を聞いたことはありますか?予防接種の時などに説明を受けたという方も多いかもしれません。この記事では、予防接種後に起きる発熱や腫れなどの好ましくない反応、副反応について解説します。副反…
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良かったねー‼︎
大変〜
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ