最新の性教育とは?パパやママも正しい知識を学んで子どもを守ろう
「子どもに性教育なんかして大丈夫?」「性教育は学校でしてくれるのでは?」そんな風に思われている方も多いのではないでしょうか。これからの時代、子どもが心も体も健康で幸せな人生を送っていくためにも性教育は重要です。でもその前に、性教育をきちんと受けてこなかったパパママの知識をアップデートする必要があります。今回は、なぜ子どもに性教育が必要なのかをご紹介していきます。
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日本は“性産業先進国”なのに“性教育後進国”!
日本の性教育は、かなり遅れています。
これはヨーロッパなど、特に進んでいる国と比べてではありません。アジアの中でも中国や韓国など近隣の国の方が、性教育に意欲的に取り組んでいます。
一方で、日本は世界の性産業(※)の6割を占めており、性産業先進国と呼ばれています。
なのに、日本では性教育が十分にされていないのが実情です。 日本では性産業が進んでいることもあって、性教育=生殖や性行動に関することと限定的に捉えられる傾向にあり、性教育が進みにくい一因になっています。- ※性産業(性風俗産業)とは、性的なニーズを満たすサービスを提供する産業のこと。形態は幅広く、物理的なサービスだけでなく、性的コンテンツの提供や販売などもある。
世界の性教育は人権尊重がベース
いま、世界の国々ではユネスコが2009年に作成、2018年に改定された「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を参考として性教育を行っています。内容は以下のとおりです。
- 1.人間関係
- 2.価値観・人権・文化・セクシュアリティ
- 3.ジェンダーの理解
- 4.暴力と安全確保
- 5.健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル
- 6.人間のからだと発達
- 7.セクシュアリティと性的行動
- 8.性と生殖に関する健康
人間関係、価値観やジェンダーなど人権尊重を基盤とし、幅広いテーマを含んでいます。生殖や性行動に関することはその中のごく一部にすぎません。これを「包括的性教育」と言い、世界の性教育の指針になっています。
いま、世界中で学ばれている性教育は「子どもたちが一生幸せな生活を送ること」を目的としたものなのです。
子どもが友達やインターネットで性について学ぶ危険性
「必要なことは学校で教えてくれるでしょ」「自分たちも教わらなかったんだし、自然と分かるのでは」こんな風に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、学校では月経や精通、受精卵が胎内でどのように成長するのかなどは学びますが、受精の前提となる性交については取り扱っていません。それは、国が定める学習指導要領に「妊娠の経過は取り扱わないものとする」という一文があるため。
では、子どもたちは教育を受けていない部分を、どのように学んでいくと思いますか?
多くの場合、友達や身近になったインターネットから情報を得ることになります。 子どもが、インターネットで調べた性に関する情報をそのまま信じても大丈夫でしょうか? インターネットには、正しくない情報もたくさんあります。何より、子ども向けに作られているわけではありません。でも、子どもに知識がないと、それが正しい情報かどうか判断できませんよね。
誤った情報をそのまま信じてしまったり、正しい知識を持たないまま興味や好奇心だけが膨らんでしまったりするのは、危険なことではないでしょうか。
早期に正しい知識を学ぶと性に関する行動が慎重になる
日本が性教育に消極的な背景として、早期に性について教えてしまうと、興味を持って行動に移すのでは?と考える風潮があり「寝た子を起こすな」とも言われていました。
しかし、実際は逆!
性教育が義務化されているオランダでは、0歳から性の意識を持たせる教育が始まります。 2016年WHOのヨーロッパ支部報告によると、オランダの15歳の性交渉体験率は40ヵ国中36位と低いことが分かっています。
日本での先進的な事例をご紹介します。 秋田県では、2000年度に10代の人工妊娠中絶率が全国平均を大きく上回りました。 これがきっかけで、2000年度から県独自の取り組みとして秋田県教育庁・秋田県教育委員会が地元の医師会と連携し、医師から、妊娠・出産や避妊、性感染症などについての性教育講座を県内の高校・中学校で実施しました。その結果、2011年度には1/3にまで中絶率が減少し、全国平均を下回る結果になっています。
海外だけでなく日本でも、早期から正しい知識を身に着けることで、性に関する行動が慎重になることが分かっています。知識があるからこそ、リスクを避ける判断ができたり、責任ある行動ができたりするようになるんですね。
恥ずかしい、話しにくいと感じるのは当然!だから親子で勉強を
性教育の大切さは分かったけれど、いざ子どもに説明するとなると「なんだか恥ずかしい」「子どもに話しにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そう感じるのは当然のことなんです!
なぜなら、パパママ世代はきちんとした性教育を受けてこなかった人がほとんど。 もしかしたら、子どもの頃に「赤ちゃんはどこから来るの?」と質問をして親からはぐらかされたり、男女の体つきの違いを聞いて「そんなこと聞かないの!」と言われてしまい、性にネガティブな印象を持ってしまった人もいるかもしれません。自分が教わってないことを子どもに教えるって、難しいですよね。 でも、大丈夫! 知らないことは、大人も子どもと一緒にこれから勉強していけばいいのです。
性について子どもに伝えるときのポイント
パパママが性について学んだことを、子どもに伝えるときのポイントをご紹介します。
1.事実を淡々と伝える
親が言いづらそうにしていたり、恥ずかしがったりしていると子どもは「聞いちゃいけないのかな」と感じ、性について聞いたり相談したりしづらくなります。パパママは、淡々と伝える練習をしましょう。
2.子どもがポジティブに受け止められるように肯定的に話す
恥ずかしい、汚いなどの言葉も避けましょう。
子どもが外でふざけてズボンを下ろしたときに「恥ずかしいからやめて!」と言いたい気持ちをぐっとこらえ、「プライベートパーツだから大切にしてね」と伝えたいですね。3.親の価値観を押し付けない
事実をそのまま伝えましょう。
例えば、生命の誕生は奇跡的なものですが、親の価値観で「生命の誕生は何より素晴らしいものだよ!」など、親の考えを押し付けないように注意が必要です。4.多様性を認める
性別は単純な男女という2種類だけではありません。体と心の性が違うこともあります。なるべく「男の子だから/なのに」、「女の子だから/なのに」というような先入観のある表現はせず、子どもの選択を自由に認めてあげたいですね。
5.子どもが興味を示したときに伝える
子どもが興味を示したときが教えるタイミングです。日頃からの繰り返しの声かけも大切ですが、全てを積極的に教えなくても大丈夫。いつ聞かれても答えられるように準備をしておきましょう。