マイコプラズマ肺炎ってどんな病気?症状は?感染したらどうする?【保健師監修】
マイコプラズマ肺炎は、5〜15歳頃の幼児期から学童期の子どもに多い、咳の症状が特徴的な感染症です。潜伏期間が長く、感染に気付かないまま外出する人も多いことから「歩く肺炎」とも呼ばれています。この記事では、マイコプラズマ肺炎の特徴や症状、対策をご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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マイコプラズマ肺炎とは
子どもに多いマイコプラズマ肺炎は、病原体である「肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニア)」による呼吸器感染症です。潜伏期間が長く、自覚症状がないまま出歩いて人に感染させてしまうおそれがあることから「歩く肺炎」とも呼ばれています。
マイコプラズマ肺炎の症状
マイコプラズマ肺炎にかかると、通常2〜3週間の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感、頭痛などの風邪症状からはじまります。その3〜5日後から乾いた咳が出始めることが多く、徐々に強くなってきます。解熱後も咳は3〜4週間ほど長く続くのが特徴です。
多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きます(一般に、小児の方が軽症で済むと言われています)が、一部の人は肺炎など重症化することもありますので注意が必要です。また、5〜10%未満の方で、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を伴う例も報告されています。心配な咳が出ているときは、その様子を動画に撮影し、診察の時に医師に見せると診断がスムーズになります。
マイコプラズマ肺炎の感染が多くみられる年齢
マイコプラズマ肺炎は特に5〜15歳頃の、幼児期から学童期の子どもに多くみられます。また、大人にもしばしば感染の報告があります。
マイコプラズマ肺炎の流行時期
マイコプラズマ肺炎は、1年を通じてみられ、秋冬に増加する傾向があります。日本では、従来は4年周期でオリンピックのある年に流行していましたが、近年この傾向は崩れつつあり、毎年、一定の発生がみられています。
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マイコプラズマ肺炎に感染したら?
マイコプラズマ肺炎と診断されたら、抗菌薬(抗生物質)によって治療します。軽症で済むことが多いですが、重症化することもあるので注意しましょう。また、家庭では、体を休め、水分を補給しながら過ごしましょう。
薬が効かない!?「耐性菌」が増加
近年、一部の抗菌薬が効かない病原体(耐性菌)が増えています。服薬しても症状が治まらないと感じたら、医師に相談を。耐性菌に感染した場合は他の抗菌薬での治療を行う場合があります。
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マイコプラズマ肺炎で保育園や幼稚園を休む期間は?
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)」によると、マイコプラズマ肺炎にかかった場合の登園の目安は「発熱や激しい咳せきが治まっていること」とされています。ただし、病状により医師が感染の可能性がないと認めるまでは登園・登校停止の措置が必要と考えられますので、医師の指示に従うようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎にかからないための対策や予防法は?
マイコプラズマ肺炎に対するワクチンは開発されていません。咳やくしゃみなどによる飛沫感染、手指を介して感染する接触感染により広がりますので、流水と石けんで十分に手を洗い、うがいをしっかり行って感染を予防しましょう。また、家族内感染や再感染も多くみられるので、タオルを共有しない、感染者との接触をなるべく避ける、看病する際にはマスクを着用するなどの工夫も心がけることが大切です。