- 対象期間
- 定期接種は生後1歳に至るまでに1回接種
- 費用・価格
- 定期接種の場合は無料/任意接種の場合は全額自己負担
マンガ「BCGワクチン」
BCGワクチンとは?
BCGワクチンとは、結核の発病を予防するワクチンです。
ワクチンを開発したのはフランスのパスツール研究所で、研究者の名前を冠した菌:BacilleCalmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字をとり、BCGと呼ばれています。
結核は、現在でも毎年1万人以上の新しい患者が発生し、1,600人以上が命を落としている日本の主要な感染症です。大人から子どもへ感染することも少なからずあり、子どもが結核にかかると、症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です。BCGワクチンを接種することにより、乳幼児が重症な結核にかかりにくくなる効果があります。
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BCGワクチン接種の費用
BCGワクチンの定期接種は無料です。任意接種をする場合は全額自己負担になります。
BCGワクチンの接種時期・スケジュール
予防接種は、生後1歳に至るまでに1回接種します。なお、標準的な接種は生後5か月から8か月に達するまでの間※1となっていますので、生後5~7か月頃に接種するのがおすすめです。ただし、地域によっては結核の発生状況等で早めに接種するよう勧められることもありますので※2、かかりつけ医とよくご相談ください。
※1 生まれつき免疫が弱い赤ちゃんにBCG接種を行うことを避けるため、生後3か月未満での接種はおすすめされていません。
※2 結核がまん延している国に移住する場合などは、生後3か月以前の接種も選択されることがあります。
BCGワクチンの種類・接種方法
BCGワクチンの種類は生ワクチンです。
1本の針による皮下注射ではなく、「管針(かんしん)」という細い9本の針をスタンプ方式で上腕に2か所押し付ける接種方法(経皮接種)で、俗にはんこ注射とも呼ばれています。接種後は、接種部位が乾くまで触らないようにしましょう。
なお、以前BCG接種前に行われていた「ツベルクリン反応検査」は、現在は行われていません。
ツベルクリン反応検査とは
ツベルクリン反応検査では、結核菌の感染について調べます。結核菌の感染またはBCG接種歴がある場合に陽性となります。
以前は乳幼児にツベルクリン反応検査を行い、陰性者にのみBCGを接種していました。しかし、平成17年(2005年)4月からツベルクリン反応検査を省略し、BCGの直接接種が導入されるようになりました。
ただし、1歳を超えて任意予防接種としてBCG接種をする際には、医師の判断によりツベルクリン反応検査を行う場合があります。また、身近な人が結核になった場合に、接触者健診としてツベルクリン反応検査を行うこともあります。
同時接種できるワクチン
BCGワクチンは、医師が特に必要と認めた場合には、2種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う「同時接種」ができます。同時接種を希望する場合はかかりつけ医に相談してみましょう。ただし、例えば午前中にBCGを集団接種で実施して、同じ日の午後に接種場所や時間を変えて他のワクチンを接種するなどの「同日接種」は行ってはならないことになっていますので、注意しましょう。
また、同時接種ではない場合の接種間隔については、BCGワクチンは「注射生ワクチン」に分類されるため、同じ注射生ワクチンであるMRワクチンや水痘ワクチンなどとは27日以上の間隔をあけて接種します。
BCGワクチン接種後の経過と副反応について
接種部位の正常な経過
BCGワクチンを接種後、2週間くらい経つと、接種部位に赤いポツポツができ、一部に小さい膿(うみ)ができることがあります。この反応は、接種後4〜6週間頃に最も強くなりますが、その後はかさぶたとなり、最後には小さな傷あとが残ります。これはBCGワクチンの接種により抵抗力(免疫力)がついたという正常な反応です。症状は自然に落ち着くので、市販の薬を塗ったりばんそうこうや包帯をしたりせず、そのまま清潔に保ってください。
ただし、接種後3か月を過ぎても接種の痕がジクジクしているような時や、いったん治ったのにまたジクジクしてきたような場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。
また、接種後まれに接種をした側のわきのリンパ節がはれることがあります。通常は、接種6か月後くらいまでには消えるため様子を見ていて構いませんが、ただれがひどかったり、とても大きく腫れたりするような時は、医療機関を受診してください。
結核に感染しているお子さんにBCGワクチンを接種すると、接種したところの反応が普通よりも早く、強く出ます。これをコッホ現象といいます。
ワクチンを接種した1、2日後(遅くても7日以内)に、接種したところに発赤や膿などの強い反応が出て、その後徐々に弱くなっていきます。このような反応がでた場合、結核に関する検査が必要になりますので、接種を受けた医療機関に相談してください。なお、結核感染ではないのに似たような反応が出ることもあるので、あわてずに医療機関を受診しましょう。
BCGの副反応
- リンパ節の腫脹
接種をした側のわきのリンパ節がはれることがあります。通常は、接種6か月後くらいまでには消えるため様子を見ていて構いませんが、ただれがひどかったり、とても大きく腫れたりするような時は、医療機関を受診してください。 - 全身の皮膚症状
頻度(ひんど)は少ないですが、全身に発赤などが出る結核疹や、接種したすぐそばに膿を持ったおでき(はれもの)などができることがあります。 - ごくまれな重い症状
骨や関節の病変、BCG感染症などもありますが、発生はごくまれです。
副反応かも?と思ったら、接種した医療機関に相談してください。
BCGで予防できる結核とはどんな病気?
結核とは、結核菌という細菌が体の中に入ることによって起こる病気です。
結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多いです(肺結核など)。また、肺以外の臓器が冒されることもあり、脳(結核性髄膜炎)、背骨(脊椎カリエス)、腎臓(腎結核)、腸(腸結核)、皮膚(皮膚結核)など、身体のあらゆる部分に影響が及ぶ場合もあります。
結核の原因と感染経路
肺結核を発病した人が室内でせきなどをすると、結核菌は空気中をただよいます。周りの人がそれを直接吸い込むことで感染します。ただし、結核に感染しても必ず発病するわけではなく、通常は免疫力により結核菌の増殖を抑えこみます。免疫力での結核菌の増殖を抑えきれなくなると、結核を発病します。感染した人のうち発病するのは10人中1〜2人と言われています。発病は2年以内が多いですが、2年で発病しなくても、結核菌はしぶとく冬眠状態で体内に留まりますので、免疫力が落ちないように注意する必要があります。
現在、世界の総人口の約4分の1は結核菌に感染していると言われています。なお、結核は、感染していても発病しなければ他の人に感染することはありません。
乳幼児期に気をつけたい理由
乳幼児の場合は、大人よりも結核の発病率が高く、早く発病します。結核特有の症状が現れにくく、気が付いたときには全身に及んでいるという重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です。粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)という重症の肺結核になったり、脳を包む髄膜に炎症が広がる結核性髄膜炎になったりすると、重い脳障害を起こしたり、最悪の場合死に至る危険性が高くなります。
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まとめ
BCGワクチンは、結核の発病を予防するワクチンです。BCGワクチンの予防接種は生後5か月〜7か月頃に受けるようにしましょう。医師が特に必要と認めた場合には他の予防接種との同時接種もできますので、スケジュールを確認し、計画的に予防接種を進めていってくださいね。
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良かったねー‼︎
大変〜
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ