- 対象期間
- 生後6か月から接種可能/妊娠中、授乳中も接種可能
- 費用・価格
- 1回あたり3,000円~4,000円程度(公的助成なしの接種の全国平均)
※自治体の助成金や企業の独自の補助により、自己負担額が軽減されることがある。
マンガ「インフルエンザ」
インフルエンザとは
インフルエンザは普通のかぜと違う?
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染して発症する感染症です。通常のかぜの原因となるウイルスとは異なり、かぜよりも格段に重い症状が出ます。
インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型・D型がありますが、流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。特にA型インフルエンザは、数年から数十年ごとに世界的な大流行が見られます。日本では、毎年10人に1人はインフルエンザに感染すると言われています。
インフルエンザの症状
インフルエンザウイルスは1~4日程度の潜伏期間のあと、発症します。
大人の症状
・悪寒からはじまる
乳幼児の症状
・不機嫌、食欲不振
乳幼児の場合は、倦怠感や頭痛を訴えられないことから、他の病気と同じように不機嫌や食欲不振の症状がみられます。小さな子どもは中耳炎などの合併症を伴いやすいので注意が必要です。また、インフルエンザウイルスが気管支や肺に波及して気管支炎や肺炎を起こし、入院が必要になることもあります。ほかにも脳炎や脳症などの重い合併症を併発して、命を落とす例も報告されています。
赤ちゃんはインフルエンザにかかりにくい?
生後6か月までの赤ちゃんは母親から受け取った免疫を持っているため、インフルエンザをはじめ、さまざまな病気にかかりにくいと言われています。インフルエンザに感染したとしても、免疫によって重症化することは少ないとは言われていますが、感染したときにはもちろん治療が必要です。
インフルエンザが流行する時期は?
インフルエンザは世界中で毎年流行が確認されています。日本では、11月下旬~3月が流行シーズンとされ、ピークは1~2月頃と言われています。低温で乾燥した環境はインフルエンザウイルスが活性化しやすいため、冬期に流行がみられますが、ほかの季節でも感染することがあります。近年では大規模な流行とまではいかないものの、夏にインフルエンザに罹るケースもみられています。
インフルエンザワクチンの予防接種とは?
インフルエンザの予防対策で、代表的なものは予防接種です。インフルエンザウイルスは予防接種によって重症化リスクを大幅に下げることができます。ワクチンの効果が出始めるのは接種から2週間後で、約1か月後に効果のピークを迎えます。その後も2~3か月程度は効果が継続します。
赤ちゃんや妊娠中・授乳中でも受けられる?
インフルエンザワクチンは何歳から受けられる?
インフルエンザの予防接種は生後6か月以上から受けることができます。ただし、乳幼児の場合、抗体ができにくいことがあります。かかりつけ医に相談をし、接種して問題ないか事前に確認しましょう。
インフルエンザワクチンは妊娠中・授乳中でも受けられる?
妊娠中・授乳中であっても、インフルエンザの予防接種は問題なく受けることができます。妊婦の予防接種による胎児への影響は報告されておらず、妊娠期は免疫力が落ちていて感染リスクが高いため、インフルエンザの予防接種が推奨されています。
授乳中の場合は、原則として母乳に影響は出ませんが、母乳を介して子どもに予防効果を期待することはできません。6か月以上の赤ちゃんについては、医師と相談し、親子で予防接種を受けるようにしましょう。
インフルエンザワクチン接種の費用
予防接種1回あたりの費用は3,000円~4,000円程度です。
インフルエンザの予防接種については、各種健康保険や市区町村の助成を受けられる場合があります。費用を抑えることができますので、加入している健康保険組合のHPや、お住まいの市区町村のHPなどで詳細を確認してみましょう。また、勤め先の企業によっては独自の補助が受けられることもあります。
インフルエンザワクチン接種時期・スケジュール
インフルエンザの流行時期にワクチンの効果が出るようにスケジュールを考えます。11月ごろから徐々に流行が広がってくるため、流行期に十分な免疫を獲得しておくため11月に接種を推奨している病院が多いです。インフルエンザの流行のピークは1~2月頃ですので、遅くとも12月までには接種を終えるのがよいでしょう。
13歳未満の場合は、2回接種をします。(接種間隔はおよそ1~4週間)
小さな子どもは大人に比べて免疫の働きが弱く、1回のワクチン接種では十分な免疫ができにくいため、2回接種する必要があります。13歳以上の場合は原則1回接種ですが、体質によっては、医師の判断で2回接種を受ける場合があります。
副反応
季節性インフルエンザワクチンでは、比較的頻度が高い副反応として、以下のようなものがあります。
- 接種した部位が赤くなる、腫れ、痛み
- 発熱
- 頭痛
- 悪寒
- 倦怠感
副反応のうち、接種部位の腫れなどの症状は全体の10〜20%にみられ、発熱や頭痛、悪寒といった身体症状は、全体の5〜10%にみられます。どちらの症状も通常2〜3日で消失します。
なぜ毎年インフルエンザの予防接種が必要なの?
大流行を起こしやすいA型のインフルエンザウイルスは常に変異をしています。過去に接種したワクチンでは、変異したウイルスの感染や重症化を防ぐことができないため、その年のウイルスに対応したワクチンを接種する必要があります。
日常生活での感染予防対策
乳幼児や妊婦は、インフルエンザによる重症化のリスクが大きくなります。
感染を防ぐために日常生活でも予防を心がけましょう。
人混みを避ける
不要不急の外出はなるべく減らし、人が多く集まる場所に行かないようにしましょう。
マスクを着用する
やむを得ず外出する場合は、マスク着用によって飛沫感染をある程度防止できます。不織布マスク※を着用するとよいでしょう。
※不織布マスク:繊維や糸などを、熱や科学的作用で接着させて布状にしたマスク
外出後の手洗い・うがい
外から帰ってきたら、まず手洗い・うがいをし、のどや手に付着している菌を排出します。ウイルスは主に手を介して感染しますので、アルコール消毒も効果的です。
部屋の湿度を適切に保つ
部屋の適切な湿度は50%〜60%です。空気が乾燥しているとのどや鼻の粘膜が乾燥し、ウイルスを排除するはたらきが弱まってしまい、感染しやすくなります。またインフルエンザウイルスは低温で乾燥している環境で活性化しますので、部屋の湿度にも気を配りましょう。
換気を心がける
1〜2時間に1回、1分程度の換気をして、ウイルスを外に排出し、空気をきれいにしましょう。締め切った室内では、空気中にウイルスがとどまってしまい、感染リスクが高まりますので、空気が流れるよう部屋の対角線にある2カ所の窓や扉を開けると効果的です。
充分な休息と栄養を取る
免疫力を高めるために、充分な休息と栄養を摂ることを心がけましょう。
インフルエンザにかかったら
医療機関を受診しましょう
インフルエンザかも?と感じたら、発熱から48時間以内に医療機関を受診してください。受診時はマスクを着用しましょう。発熱して間もないときには体内のウイルス量が少なく、感染していても検査結果が陰性と出る場合があります。そのため、発熱後12〜24時間後の検査が望ましいです。早期治療は重症化や合併症を防ぐだけでなく、家族や周囲の人にうつす可能性を減らすことができます。
インフルエンザかどうか判断するには?
インフルエンザかどうかの判断は病院で検査をして行います。検査では、患者の鼻やのどの粘液を採取します。多くの医療機関では、30分以内に検査結果が出る専用キットを用いています。
乳幼児の場合
かかりつけ医を受診します。かかりつけの病院がお休みの場合は、別の小児科を受診しましょう。
妊婦の場合
妊娠中にインフルエンザに感染した疑いがある場合は、かかりつけの産婦人科医と電話連絡をとり、受診先などの対応を指示してもらいましょう。他の妊婦に感染してしまうおそれから、内科など他の医療機関を紹介してもらうケースも多いようです。
インフルエンザの治療方法
インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬を用います。発症から48時間以内に服薬すれば、発熱の期間が抑えられ、鼻やのどから排出するウイルスの量も減少します。48時間以降に服用した場合は充分な効果が期待できないため、できるだけ迅速な受診を心がけてください。なお、軽症の場合は抗インフルエンザ薬が必要ないこともあります。
療養中の過ごし方
子どもも大人も、感染している間は自宅で安静に努めましょう。また、発熱している間は通常よりも多くの水分が体の外に出てしまいます。こまめな水分補給を行ってください。赤ちゃんが感染した場合、母乳・ミルクや離乳食などは、水分補給と体力維持のために、無理のない範囲で与えましょう。
こんなときは再度医療機関を受診しましょう
すでに治療を受けていたとしても以下の症状が見られたときは、速やかに再度医療機関を受診してください。
- 手足を突っ張る、がくがくするなど、けいれんの症状がある
- ぼんやりしていて視線が合わない、呼びかけに答えないなど、意識障害の症状がある
- 意味不明なことを言う、急に走り出すなど、いつもと違う異常な行動が見られる
- 顔色が悪い、唇が紫色をしている
- 呼吸が速かったり、息苦しそうにしているなど、いつもと呼吸が違う
- 水分が取れず、半日以上おしっこが出ていない
- 発熱が長引く、症状が長引いて悪化してきた
- その他、緊急を要するような症状がみられたとき
異常行動がないか目を離さないようにしましょう
まれに、インフルエンザによる発熱から2日間以内に、異常行動がみられる場合があります。異常行動による転落などの事故を防止するために、自宅の施錠や安全性の確保を行い、発熱後は注意して子どもの様子を見ましょう。
- 急に走り出す
- 部屋から飛び出そうとする
- ウロウロする など
これってすぐ受診すべき?迷った時の連絡先
夜中などで病院に連絡ができず、受診すべきか迷ったら、子ども医療電話相談事業(ダイヤル「#8000」)に電話をしましょう。
ダイヤル「#8000」は、休日・夜間に発症した子どもの病気に対して、電話で小児科医や看護師などの専門家に相談できるものです。応急処置がわからないときや病院を受診すべきか判断に迷う場合に有効な手段です。
家庭内感染を防ぐために
家族がインフルエンザにかかってしまった場合、感染した家族と感染していない家族は別室で過ごすようにし、接触をできるだけ少なくします。家の中でもマスクを着用すること、こまめな手洗い・うがいも感染予防になります。とはいえ、育児中で子どもと接触する機会を無くすことが難しい場合もありますよね。できる限りの対策はしつつ、もし家庭内感染したとしても出来るだけ早く回復することを優先し、無理をしないように過ごしましょう。
登園停止・外出自粛について
子どもがインフルエンザに感染した場合、感染拡大を防ぐために学校や幼稚園などへの登園ができない決まりが法律(学校保健安全法施行規則 第19条)で定められています。保育園についても、この法律に準じてルールが決められています。
学校保健安全法では、登園停止期間の目安は、乳幼児の場合「発症から5日を経過し、かつ、解熱後3日を経過するまで」(児童・生徒の場合、解熱後は2日)です。また、各園で個別に登園停止期間を定めていることがあるため、詳細は園に問い合わせるとよいでしょう。
こんなときは?インフルエンザQ&A
子どもが夜間に発症したかも。夜間救急に行くべき?
インフルエンザの検査は、発熱から一定時間(12〜24時間程度)が経たないと正確に判定できないため、あわてて夜間救急に行く必要はありません。また、流行期では診察まで数時間待つこともあり、かえって子どもに負担をかけてしまうこともあります。発熱以外の心配な症状がなければ、水分をこまめに与えながら様子を見ましょう。けいれん、意識がもうろうとしている、顔色が悪いなど、明らかにいつもと様子が違う場合は、夜間救急に連絡し、受診しましょう。
インフルエンザのときに市販薬を服用してもいい?
インフルエンザと思われる症状が現れた場合は、自己判断で市販薬を服用させず、まずは医療機関を受診しましょう。市販の風邪薬にも含まれている、解熱剤のアスピリン(アセチルサリチル酸)、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸の3種類は、インフルエンザ脳炎・脳症の発症リスクを高めたり重症化したりする危険性があることが厚生労働省の研究から分かっています。またアスピリンには、肝機能障害や精神神経症状をきたすライ症候群という合併症を引き起こす可能性も指摘されています。
授乳中のママがインフルエンザに感染したら?
赤ちゃんに母乳を与えているママがインフルエンザに罹患した場合、母乳を与え続けても問題ないとされています。インフルエンザウイルスは血液中には大量に出現せず、血液が元となる母乳に影響を与えることはありません。搾乳した母乳からインフルエンザに感染したという報告も現在ありません。また、抗インフルエンザ薬についても、授乳を介しての赤ちゃんへの影響は認められていません。
ただし、インフルエンザにかかった母親が赤ちゃんに接触することでの感染はあり得ます。赤ちゃんへの感染を防ぐために、必ずマスクを着用する、手洗い・うがいを徹底する、清潔な衣類に着替える、授乳を他の人に変わってもらうなどの対策を行いましょう。
まとめ
インフルエンザは免疫力の低い乳幼児や妊婦さんにとっては怖い病気ですが、予防接種や日頃の感染予防対策により感染リスクを軽減することができます。また、感染したとしても、早めの適切な治療によって重症化を防げます。家族が健康に過ごせるように、落ち着いて対応していきましょう。
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- 赤ちゃんが生まれると、一般的に生後2か月から予防接種が始まります。予防接種とは、その病気に対する免疫をつけるためにワクチンを接種すること。これによりその病気に罹ることを予防し、罹ったとしても重症化を…
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ナーイス‼️
あははははははは😂
息子さん、頑張った🥹 ご褒美のシールもらえてよかったね🥺🥺🥺🥺