- 対象期間
- 急性中耳炎の場合、1歳までに60%、3歳までに約80%が罹患すると言われている。 滲出性中耳炎は3~10歳の間に起こりやすい。
- 費用・価格
- 診察代、治療費(治療を行う場合)
マンガ「中耳炎」
中耳炎とは?
子どもの病気のなかでも、よく発症しやすいものに中耳炎(ちゅうじえん)があります。 中耳炎とは、耳を構成する部分のひとつである中耳に炎症が起きている状態です。炎症そのものや内部に膿がたまることで、鼓膜が赤く腫れあがった状態になります。中耳炎には複数の種類がありますが、ここでは子どもに起こりやすい急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)と滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)をご紹介します。
中耳炎の症状
急性中耳炎
急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)は、発熱・耳痛や耳の違和感・聞こえが悪くなる・耳に膿が溜まって耳だれが出るなどが起こります。症状が強く出やすく、子どもが症状を突然訴えてくることが多いです。赤ちゃんの場合は、痛みを正確に訴えることができないため、機嫌が悪くなったり、ぐずったり、しきりに耳を気にして触ることが多くなります。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)は、中耳の部分に滲出液という液体が溜まっている状態です。耳の聞こえが悪くなりますが、急性中耳炎と比べて、発熱や耳痛などの強い症状が起きないのが特徴です。子どもの難聴の原因としては最も多いと言われています。
中耳炎にかかる原因
急性中耳炎は風邪などの細菌・ウイルスが原因となって発症します。細菌やウイルスなどの病原体は耳の外側からは入り込まず、鼻や喉にいた病原体が、鼻の奥からつながる耳管を通じて耳の内側(中耳)に入りこみ、そこでも感染を起こすことで炎症が生じます。子どもの耳管は、大人より太くて短く、角度がなだらかなせいで、病原体が中耳へと侵入しやすいため、風邪とセットで発症するケースが多いようです。風邪が長引いて鼻水が長く続くときは、中耳炎を合併する可能性があることに注意しましょう。
滲出性中耳炎は、耳管が何らかの原因で機能しなくなることによって浸出液が中耳内にたまることで起こります。特に乳幼児期の子どもは、急性中耳炎の後に滲出性中耳炎になりやすいので、急性中耳炎をしっかりと治療することが大切です。また、鼻炎や副鼻腔炎、咽頭炎、アデノイド肥大などに伴って滲出性中耳炎を発症しやすいと言われています。
中耳炎になりやすい時期
急性中耳炎の場合、1歳までに全体の約60%、3歳までに約80%の子どもが発症すると言われています。滲出性中耳炎は3歳〜10歳にかけて多くみられます。
中耳炎で受診するタイミングは?何科を受診すればいい?
これって中耳炎の症状かも…と思ったら、なるべく早く受診するようにしてください。ここでママやパパが悩むポイントは、「中耳炎は、何科に行けばいい?」ということです。中耳炎が疑われるときは耳鼻科で耳の専門家の診察を受けるのがベストです。鼻や耳、のどのほかにも症状が出ているような場合は、小児のスペシャリストである小児科で一度相談してみると良いでしょう。耳鼻科受診が必要かどうかを小児科医の目で判断してもらうこともできます。
ただし診療時間外などで耳鼻科を受診できない場合は、いったん小児科を受診すると薬を処方されることがあります。その際は、一度小児科を受診した場合も、改めて耳鼻科を受診するとより安心です。
※小児科での診察内容や処方された薬がある場合は、耳鼻科受診時に必ずそのことを伝えましょう。
中耳炎の治療
急性中耳炎の治療
急性中耳炎は、年齢や鼓膜の所見、痛みの程度などから、「軽症」「中等症」「重症」に分類されます。軽症の急性中耳炎の場合、ほとんどが抗菌薬を服用せずに、鎮痛薬のみで治ります。3日間程度たった時点でも痛みがなくならない、鼓膜の状態が悪化している場合などは抗菌薬を使用します。膿がたまって鼓膜が腫れていたり、痛みが強い、熱が高いような場合は、鼓膜を切開し膿を出すと早く治ります。中等症、重症の急性中耳炎の場合には、抗菌薬の効果を見ながら、量や種類を調整していきます。
なお、抗菌薬は下痢の副作用が出ることがあるので、おなかの薬もあわせて処方されることがあります。
滲出性中耳炎の治療
滲出性中耳炎にはさまざまな段階があり、症状等により治療法が異なりますが、主に次のような治療を行います。
局所治療
- 耳管通気:鼻から空気を送り込んで、耳管の通りを良くする。
- 鼻咽腔処置:中耳炎の原因となっている鼻の病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎)を改善させる。
薬物治療
- 抗菌薬:抗菌作用があるほか、滲出性中耳炎の炎症を抑える。(マクロライド系抗菌薬が広く用いられている)
- 粘液溶解薬:分泌液をやわらかくし、耳管から出やすくする。
外科治療
- 鼓膜切開:中耳にたまっている分泌液を出す。
- 鼓膜チューブ留置術:再発を繰り返すときに行う。
- アデノイド切除術:耳管をふさいでいるアデノイドを取り除く。
中耳炎の治り方
急性中耳炎の場合は急に発症し、ゆっくりと治ります。風邪が1週間程度で回復するのに対し、中耳炎は1~2か月かけて回復していきます。滲出性中耳炎の場合は、さらに長い期間を要することがあります。完治までの期間は長いですが、きちんと治療を受け続けることで治りやすい病気です。
繰り返す中耳炎・再発について
鼻炎がある子どもは中耳炎を再発しやすいと言われています。また、保育園や幼稚園などで集団保育を受けている・家庭内に喫煙者がいる状況も発症や再発の原因となり得ます。
夜中に子どもが泣き止まない…中耳炎の応急処置
急性中耳炎の場合は特に症状が突然起こるため、「耳が痛い」と子どもが泣き止まないこともあります。その場合、まずは耳の痛み以外にどんな症状が出ているかチェックしてみましょう。黄色い鼻汁や熱が出ている場合は中耳炎の疑いがありますが、日常生活に支障がない状態であれば診療時間内に受診しましょう。 以下の症状が見られる場合は、夜間や休日でもすぐに受診しましょう。
- 痛みが我慢できず、食事や睡眠ができない
- 熱が38度以上あり、ぐったりしている
- 耳が聞こえにくい
- 頭痛や吐き気がある
どうしてもすぐに受診できない時は、次のような応急処置を試してもいいでしょう。
痛い方の耳を冷やす
冷たいタオルなどを使って、痛い方の耳の後ろ側を冷やします。
耳だれが出ている場合は、綿で球をつくり、耳の中に入れる
耳だれが外に広がると、耳の周囲に湿疹が広がる原因になります。
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冷やしても耳の痛みが治まらない場合は…
耳の痛みが強く、冷やしても症状がなかなか治まらない場合は、解熱鎮痛薬(子ども用)の使用により痛みが緩和される場合があります。
ただし、解熱鎮痛薬を使用する際は、医師や薬剤師の指示に従い、自己判断で使用することは控えましょう。
中耳炎の3つの予防方法
なるべく中耳炎を発症させないために、日ごろからできる予防方法を3つご紹介します。
その① 鼻水が出るときはこまめにかむ
風邪をひいた際には、病原体を含んだ鼻水をすすったりせず、鼻をかむなどしてこまめに体の外へ出し、鼻の中をできるだけきれいな状態に保つことが中耳炎の予防につながります。
その② 赤ちゃんや小さい子どもの鼻水は、鼻水吸引器を使って吸い取る
赤ちゃんや幼い子どもの場合、自分ではなをかむことが難しいものです。鼻をかむ方法を教えたり、市販の吸引器などを用いて鼻水を吸ってあげたりしましょう。
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その③ 耳鼻科で鼻水を吸引してもらう
粘り気が強い鼻水など、鼻水をうまく取り切れない場合は耳鼻科に受診してとってもらいましょう。
中耳炎Q&A
添え乳(添い乳)が中耳炎の原因になると聞きましたが、本当ですか?
添え乳の行為そのものが中耳炎の原因になるわけではなく、寝かせた状態で授乳をしているときに伴う、赤ちゃんが授乳したまま眠った、一度起こして授乳後のげっぷをさせなかったことなどが要因になる場合が多いです。
赤ちゃんはまだまだ胃腸機能が未熟であり、げっぷができないと一度飲んだお乳を吐き出してしまうことがあります。そのとき、逆流したお乳が中耳に入り込むことで中耳炎を起こしてしまうのです。また、授乳時の赤ちゃんの体の向きが常に同じだと、その傾きで、下になっている耳にお乳が到達することもあります。
添え乳に限らず、授乳後はげっぷをさせてあげるのが大切です。体の向きにも気を付けてみると、予防につながります。
耳に水が入ると中耳炎になるのでしょうか?
中耳炎は鼻を経由して原因菌が入り込むことが多いため、水が耳に入った=中耳炎になるということではありません。ただし、耳に入った水が原因で外耳炎※を起こしたり、中耳炎の治療で鼓膜に穴が空いている状態では症状悪化の可能性があります。
中耳炎の治療中や、治療後のプール・お風呂等の入浴行為など、水に関わるものは、医師の指示に従うのがよいでしょう。症状が軽くなっているようであれば許可が出ることもあります。
※外耳炎:外耳(鼓膜より外側の、外耳道を含む部分)の皮膚に発疹や炎症が起きる病気。
中耳炎が完治するまでは、保育園への登園を控えた方がよいですか?
こちらも、医師の指示に従うのがよいでしょう。症状が軽くなっているようであれば許可が出ることもあります。
耳かきのしすぎで中耳炎を起こすことはありますか?
耳垢は外耳道にたまるもので、耳かきと中耳炎に直接の関係はありません。ただし、中耳炎に関係がないからといっても、耳かきをしすぎると外耳に傷ができて外耳炎の原因になったり、耳垢を奥に押し込んでしまうことで耳垢栓塞(じこうせんそく)※を起こすことがあります。耳にはもともと耳垢を自然に外に排出する機能があるので、子どもの耳かきは月に多くて2~3回を目安に行い、適切にケアをしていきましょう。
※耳垢栓塞:耳垢がたまって外耳道に栓のように詰まった状態。
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まとめ
中耳炎は子どもの病気のなかでも発症しやすい病気と言われています。ですが、しっかりと治療をすれば快方に向かいやすいため、まずは医療機関で医師の診察を受けることが重要です。かぜを引いたときなどは、耳の状態もいっしょにチェックしてみるとよいでしょう。
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良かったねー‼︎
大変〜
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ