小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種スケジュールは?いつから打てる?【保健師監修】
しょうにようはいえんきゅうきんわくちん
更新日 2024.10.31
公開日 2023.05.17
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イラスト・ずんこさん
ずんこさん
対象期間
生後2か月〜5歳の誕生日前日まで
費用・価格
定期接種の場合は無料/任意接種の場合は全額自己負担
小児用肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染症を予防します。一般的な接種スケジュールでは、生後2か月から全4回、定期接種します。小児用肺炎球菌ワクチンの概要、接種時期、対象、回数、副反応についてご紹介します。【保健師監修】【マンガ解説】

マンガ「小児用肺炎球菌」

5歳未満の子どもが罹りやすい肺炎球菌の注意喚起をする育児用語を解説するおまめちゃんの漫画イラスト肺炎球菌がどのような症状を引き起こすのか育児用語を解説するおまめちゃんの漫画イラスト肺炎球菌は細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎などの感染症を引き起こすことを解説するおまめちゃんの漫画イラスト髄膜炎を起こすと後遺症や死亡例も少なくないと育児用語を解説するおまめちゃんの漫画イラスト小児肺炎球菌の予防接種スケジュールを説明するおまめちゃんの漫画イラスト小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種を推奨するおまめちゃんの漫画イラスト

小児用肺炎球菌ワクチンとは?

小児用肺炎球菌ワクチンとは、肺炎球菌による感染症を予防するワクチンです。日本では2013年4月から定期接種に位置づけられています。

2024年10月以降、原則として、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20)が使用されています。以前使用されていた沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)も使用可能です。PCV15で接種を開始した方は、原則としてPCV15で全ての接種を行うこととされています。

小児用肺炎球菌ワクチン接種の費用

定期接種の期間中は無料で受けられます。それ以外の期間は任意接種となり、全額自己負担で接種することになります。

小児用肺炎球菌ワクチンの接種時期・スケジュール

小児用肺炎球菌ワクチンの標準的な予防接種スケジュールは、以下のとおりです。

初回接種

生後2か月から接種を開始し、27日以上の間隔をおいて3回接種します。

追加接種

3回目の接種から60日以上の間隔をあけて1回接種します。日本小児科学会では、1歳から1歳3か月での接種とされています。

※初回の接種月齢・年齢(生後2か月〜7か月までに開始できなかった場合)によって接種間隔・回数が異なります。細かいルール等の詳細については、母子健康手帳、各市区町村や接種を受ける医療機関に確認しましょう。

ワクチンの種類・接種方法

小児用肺炎球菌ワクチン(PCV20またはPCV15)は、皮下注射または筋肉内注射で接種します。

※PCV15で接種を開始した方は、原則としてPCV15で全ての接種を行います。
※沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)は2024年9月30日をもって販売終了となりました。PCV13で1回目、2回目または3回目までの接種をしている方は、残りの接種をPCV20で行うことができます。

同時接種できるワクチン

小児用肺炎球菌ワクチンと同時接種できるワクチンの組み合わせや本数に制限はありませんが、スケジュール上、同時接種しやすいのは次のワクチンです。

  • 生後2か月
    ロタウイルス / B型肝炎 / 五種混合
  • 生後3か月
    ロタウイルス / B型肝炎 / 五種混合
  • 生後4か月
    ロタウイルス(5価) / 五種混合
  • 1歳
    五種混合 / MR / おたふくかぜ / みずぼうそう

副反応

注射部位の副反応は、発赤・硬結(しこり)・腫脹(はれ)などがあり、注射部位以外の副反応として発熱、気分変化、食欲減退、眠気などがみられます。極めてまれに、ショック、アナフィラキシー様症状、血小板減少性紫斑病、脳症、けいれんなどが起こります。

肺炎球菌感染症とは?

肺炎球菌がどのような症状を引き起こすのか育児用語を解説するおまめちゃんの漫画イラスト

肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児での発生に注意が必要です。
肺炎球菌が乳幼児の上気道に感染すると、肺炎や中耳炎、髄膜炎などの重い合併症を起こすことがあります。特に、髄膜炎をきたした場合には2%の子どもが亡くなり、10%に難聴、精神の発達遅滞、四肢の麻痺、てんかんなどの後遺症を残すと言われています。また、小さい子どもほど発症しやすく、特に0歳児でのリスクが高いとされています。

厚生労働省によると、ワクチン接種により、肺炎球菌(ワクチンに含まれる種類のもの)が血液や髄液から検出されるような重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。

肺炎球菌の感染経路

飛沫または接触感染によって人から人へ感染が広がります。

肺炎球菌の主な症状と経過

乳幼児の場合、血液中に侵入して、菌血症(血流中に細菌が存在する状態)を起こすことがあります。菌血症から敗血症(全身性の炎症反応)になると、血圧低下、血管内で血液が凝固し無数の血栓ができるDIC(播種性血管内凝固症候群)、臓器不全などの重篤な症状を引き起こす場合があります。菌血症から脳や脊髄を包む髄膜に炎症(髄膜炎)をきたすと発熱、頭痛、意識障害、けいれんなどが見られます。

まとめ

小児用肺炎球菌ワクチンは、乳幼児の死亡例も少なくないので予防のために必ず接種したいワクチンのひとつです。 全4回の接種が必要で、できれば生後2か月から接種を開始しましょう。他の予防接種との同時接種もできますので、スケジュールを確認し、計画的に予防接種を進めましょう。


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保健師・SHIHOさん
保健師・SHIHO
10年以上にわたり自治体保健師として感染症や母子保健などの業務に従事し、多くの住民に寄り添い支援を行う。他にも、病院看護師としての臨床経験や学校保健師としての業務経験など、幅広く公衆衛生に従事する経験を持つ。現在、一人娘を育てながら、ICTを使ってより多くの人々の健康支援に寄与できるよう、育児コラムの編集・監修などにも活動を広げている。趣味は映画鑑賞。
ずんこさん
ずんこ
タイ在住の日本人漫画家、イラストレーター。 日本でマンガ家アシスタントなどを経験後、シンガポールのローカルアートスクールにてマンガの描き方を教える。現在はタイ・バンコクを拠点にマンガ・イラストの制作をしている。他にも、シンガポールやベトナムのイベントに、マンガ風似顔絵ブースで参加をするなど、マンガを通してさまざまな人達と交流していきたいと活動を広げている。
参考文献
日本小児学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール 」
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138 (最終閲覧:2024/10/30)
日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報」
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=263 (最終閲覧:2024/10/30)
厚生労働省「子どもの肺炎球菌ワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-child/index.html (最終閲覧:2024/10/30)