- 対象期間
- 主に出生から満1歳未満までの赤ちゃん
マンガ「原始反射」
原始反射とは?
赤ちゃんが急にパッと両腕を広げたり、赤ちゃんの手のひらに指を近づけるとぎゅっと握ったりという、無意識に起こる動きのことを「原始反射(げんしはんしゃ)」といいます。赤ちゃんには初めての環境に適応して生きていくために、生まれつき反射の機能が備わっているのです。
原始反射は成長すると消える
赤ちゃんの原始反射は、与えられた刺激が大脳の統制を受けずに脊髄や脳幹等に伝わって、無意識に起こります。中脳や大脳皮質などの高次神経機構が発達し、意識した運動が増えるにしたがって自然に消え始めます。個人差はありますが、原始反射が現れるべき時期にみられない場合、消失する時期にみられる場合、左右差がある場合などは、脳や神経に異常がないか確認する必要があるため、乳幼児健診の確認項目にも含まれています。
原始反射はいつから始まる?
原始反射は、ママのお腹の中にいる時から見られます。原始反射の種類によって、反射が表に出始める(出現)時期と、反射が見られなくなる(消失)時期が異なり、生後6か月程度で消失する原始反射もあれば、1歳頃まで見られるものもあります。多くの場合、1歳で原始反射が見られなくなります。
原始反射の種類と消失する時期
モロー反射
消失時期:生後4~6か月頃まで
赤ちゃんが突然びっくりしたように両手を広げ、指もすべて伸ばして開き、何かに抱きつくような左右対称の動作をします。これが「モロー反射」です。けいれんではないので、心配はいりません。
モロー反射は光や大きな音、周りの環境などに反応して起きます。
手掌把握反射(しゅしょうはあくはんしゃ)
消失時期:生後4~6か月頃まで
赤ちゃんの手のひらにものが触れると、ぎゅっと握りしめる反射です。手の把握反射は、ものを意識的に握ることができるようになる頃に消失します。
足底把握反射(そくていはあくはんしゃ)
消失時期:おおよそ生後8~9か月頃まで
足の裏を圧迫すると、足指も含めて内側に曲がる反射です。足の把握反射は、自分の足で立つ頃になると消失します。
舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)
消失時期:生後5〜6か月頃まで
赤ちゃんの口に固形物を入れようとすると吐き出す動きを「舌挺出反射」といいます。この反射が消失しはじめる生後5〜6か月頃は、離乳の開始時期の目安となります。離乳食開始時の赤ちゃんにまだ残っていることも多く、おかゆをあげようとすると、舌でおかゆを出してしまう姿が見られます。これも原始反射のひとつなのです。
非対称性緊張性頸反射(ひたいしょうせいきんちょうせいけいはんしゃ)
消失時期:生後4~6か月頃まで
仰向けで寝ている赤ちゃんの頭部を一方に向けると、顔を向けた側の手足を伸ばして、反対側の手足を曲げます。これを「非対称性緊張性頸反射」といいます。
哺乳反射(ほにゅうはんしゃ)
消失時期:生後4~6か月頃まで
生まれてすぐに母乳やミルクが飲めるのは、「哺乳反射」によるものです。生後4〜6か月ころに消失し、離乳へと移行してきます。 哺乳に関する一連の動きは、さらにいくつかの種類に分けられます。
探索反射(たんさくはんしゃ)
赤ちゃんの口の周辺を刺激すると、その方向へ顔を向けて口を開き、母乳やミルクを飲むための乳首を探すような動きをします。これを「探索反射」といいます。
捕捉反射(ほそくはんしゃ)
口に乳首や指などやわらかいものが触れると、「捕捉反射」によってくちびると舌でとらえ、乳首をしっかりとくわえることができます。
吸綴反射(きゅうてつはんしゃ)
口で乳首や指をくわえると、舌をリズミカルに動かして吸う動きを「吸綴反射」といいます。これは母乳やミルクなどを吸うための反射です。
自動歩行(歩行反射、足踏み反射)
消失時期:生後1〜2か月頃まで
赤ちゃんの両側の脇の下を支えて、足の裏を軽く床に触れるようにして体を前かがみにさせます。すると、足を交互に動かしてまるで歩いているような動作をします。これを「自動歩行(歩行反射、足踏み反射)」といいます。
その他の原始反射
他にも、以下のような原始反射もみられます。
- 逃避反射…生後3か月頃まで
- 交差伸展反射…生後3か月頃まで
- 踏み直り反射(定位反射、踏み出し反射)…生後2か月頃まで
- ギャラン反射…生後4~6か月頃まで
姿勢反射とは?
姿勢反射とは、主に姿勢を保つために必要な反射です。原始反射と違い、生後数週から7〜8か月の頃にみられ始め、生涯消えないものも多くあります。
赤ちゃんの反射というと、「ランドー反射(ランドウ反射)」や「パラシュート反射」なども聞いたことがあるかもしれませんが、これらも姿勢反射にあたります。ランドー反射は生後6か月頃に出現して2歳6か月頃までみられ、パラシュート反射は生後7〜8か月頃に出現して永久的にその反射能力が身につきます。他にも、「ホッピング反応」や「引き起こし反応」なども姿勢反射です。
乳幼児健診でのチェック項目は?
通常、乳幼児健診は赤ちゃんの月齢で実施されますが、在胎37週未満で産まれた赤ちゃん(早産児)の場合、修正月齢で反射の発達を確認します。
赤ちゃんが産まれた産院などで行われる1か月児健診では、モロー反射や把握反射、自動歩行などがみられるか確認します。3〜4か月児健診では、原始反射の消失傾向をチェックします。
原始反射(モロー反射)に困った時の対処法
赤ちゃんの発達に欠かせない原始反射。しかし、時には激しい反射の動きに困ってしまうこともあります。
特によく言われるのが、モロー反射です。原始反射は個人差が大きいのですが、モロー反射が激しく、すやすや眠っていても反射で起きてしまったり、無意識の体の動きに自分で驚いて泣いてしまう赤ちゃんもいます。一日に何度も起こるのが一般的ですが、あまりに頻繁な場合には、赤ちゃんが眠れないなど、困ってしまうこともあるかもしれません。
モロー反射が起こりやすい原因を探ろう
モロー反射が多いときは、原因を探り、なるべく取り除いてあげるといいでしょう。
モロー反射の原因は「刺激」
- 周囲の音や光
- 急激な温度変化(空調の風も含む)
- 自分の体勢が変わったなどの動き
このような変化があったときに、モロー反射が起きやすくなります。モロー反射が激しいときは、赤ちゃんにとって大きな刺激となるものが周囲にあるということです。
モロー反射への対処
赤ちゃんを布団などに寝かせるときや、沐浴をするときなど、赤ちゃんの頭が下がってしまうとモロー反射が誘発されやすいといわれています。
また、冬などに冷たい布団に寝かせた時は、温度変化を感じてモロー反射が起こりやすいです。事前に布団を温めておくことでモロー反射を減らせます。
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モロー反射におすすめな「おくるみ」の巻き方
おくるみで赤ちゃんの体をほどよく固定してあげると、ビクッとする赤ちゃんのモロー反射が起こりにくくなり、赤ちゃんが安心して眠ることができます。おくるみによって、モロー反射を封じ込めるわけではありませんので、心配はいりません。
※おくるみは、きつく締め付けすぎないようにしましょう。
①おくるみを広げ頭に当たる部分を内側に折り、赤ちゃんを寝かせる
②赤ちゃんの手を胸の上に置き、おくるみをの左側から右側へ包む
③次に赤ちゃんの下側から上側へ包む
④最後に右側から左側へ包み込む
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それでもモロー反射が激しく続く場合は…
モロー反射への対処法を試しても、激しく続くような場合は、かかりつけ医に相談することも検討しましょう。モロー反射は正常な反応ですので、起きやすくても基本的に心配する必要はありませんが、まれに、病気による動きがモロー反射のように見えている可能性があります。
「刺激が無くても動きが起こる」「動き方がおかしい」など、気になる場合はかかりつけ医に相談しましょう。説明がしやすいように、赤ちゃんの様子を動画で記録しておくのもおすすめです。
赤ちゃんの原始反射がなくて心配な場合
原始反射は個人差があるので、多少の時期のずれや、反応が小さくても、現れていれば問題ありません。赤ちゃんの原始反射は、市区町村で実施する乳幼児健診の確認項目にあります。現れるべき時期に全くみられないとき、消失する時期にみられるときは、何かしらの問題が生じている可能性もゼロではありません。ママやパパがすべての原始反射を正しくチェックするのは難しいので、乳幼児健診を必ず受け、医師にしっかり確認してもらいましょう。心配なことがあれば、遠慮せずかかりつけ医や保健師に相談してみてくださいね。
まとめ
原始反射は、赤ちゃんに生まれつき備わっている機能で、筋力や知的能力の発達に欠かせない動きです。現れるべき時期にみられるか、消失する時期に消えているかが大切なので、乳幼児健診を必ず受診しチェックしてもらいましょう。
また、原始反射は成長すると見られなくなる場合がほとんどです。赤ちゃん期だけの愛らしい動きを見守ってくださいね。
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良かったねー‼︎
大変〜
これで安全に支障がでたら、どうするつもりなんだろうね国は、従来の10歳まででいいよ