ロタウイルスワクチンの予防接種スケジュールは?いつから打てる?【保健師監修】
ろたういるすわくちん
更新日 2024.05.28
公開日 2023.05.17
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イラスト・ずんこさん
ずんこさん
対象期間
定期接種は生後6週(推奨は8週)~生後24週0日もしくは生後32週0日まで合計2~3回 ※ワクチンの種類により異なる
費用・価格
定期接種の場合は無料/任意接種の場合は全額自己負担
ロタウイルスワクチンは、ロタウイルスの感染による胃腸炎を予防するワクチンです。定期接種は生後6週から受けることができ、ワクチンの種類によって2回または3回の接種が推奨されています。ロタウイルスワクチンの概要、接種時期、対象、回数、副反応についてご紹介します。【保健師監修】【マンガ解説】

マンガ「ロタウイルス」

生後3か月から1歳の乳幼児はロタウイルスにかかりやすいことを説明するおまめちゃんの漫画イラストロタウイルス感染症胃腸炎の症状や特徴を説明するおまめちゃんの漫画イラストロタウイルス感染症胃腸炎は嘔吐、下痢、脱水症を引き起こすため注意が必要であることを説明する漫画イラストロタウイルス感染症胃腸炎は予防接種で重症化を防ぐことができることをおまめちゃんが説明する漫画イラストロタウイルスワクチンは生後2か月の赤ちゃんから接種できることをおまめちゃんが説明する漫画イラスト月齢が進むと腸重積症の発症リスクが大きくなるため初回接種は14週6日後までに受けましょう重症化や重い合併症を防ぐためにも予防接種は忘れずに受けてくださいね!

ロタウイルスワクチンとは?

ロタウイルスワクチンとは、ロタウイルスによる胃腸炎を予防するワクチンです。日本では2020年10月から定期接種になっています。予防接種を受けることによりロタウイルスに対する抗体ができ、ロタウイルスによる胃腸炎の重症化を防ぐことができます。「ロタリックス®(1価ワクチン)」「ロタテック®(5価ワクチン)」という2種類のワクチンがあり、医療機関によって取り扱うワクチンが異なります。決められた時期を過ぎると初回接種が受けられないため、計画的な接種が必要です。

ロタウイルスワクチン接種の費用

定期接種の期間中は無料で受けられます。それ以外の期間は任意接種となり、全額自己負担で接種することになります。

ロタウイルスワクチンの接種時期・スケジュール

ロタウイルスワクチンの種類により接種スケジュールが異なります。生後6週から接種でき(推奨は8週から)、4週間隔で2回または3回接種します。接種できる期間が短いので、初回接種を生後8週から、生後14週6日までに受けるようにかかりつけ医と相談しましょう。なお、一度接種を開始したらワクチンの種類を途中で変更することはできません。

1価ワクチン(ロタリックス®)

生後6週(推奨は生後8週)~生後24週0日までの間に、4週間間隔で全2回接種します。

5価ワクチン(ロタテック®)

生後6週(推奨は生後8週)~生後32週0日までの間に、4週間間隔で全3回接種します。

ロタウイルスワクチンの接種期間はなぜ短い?

月齢が進むと、腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)という病気にかかりやすくなるといわれています。また、日本小児科学会によると、生後15週以降はロタウイルスワクチンの初回接種後7日以内の腸重積症の発症リスクが増すとされているため、初回接種は出生14週6日後までに受けるようにしましょう。生後15週0日後以降に初回接種を受けることを希望しても、安全性の観点から、医師が接種できないと判断することもあるようです。

腸重積症とは

腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)とは、腸が腸の中に折り重なるように入り込んで腸閉塞を起こすという、子どもに多い原因不明の病気です。いちごゼリー状の血便や、5~10分おきに不機嫌で顔色が悪くなるなどの症状が見られ、病院や救急外来での受診が必要です。

ワクチンの種類・接種方法

ロタウイルスワクチンの種類は生ワクチンで、接種は通常、経口接種で行なわれます。

同時接種できるワクチン

ロタウイルスワクチンと同時接種できるワクチンの組み合わせや本数に制限はありませんが、スケジュール上、同時接種しやすいのは次のワクチンです。

【1価ワクチン、5価ワクチン共通】

【5価ワクチンのみ】

  • 生後4か月
    小児用肺炎球菌 / 五種混合

副反応

ロタウイルスワクチンは安全性の高いワクチンですが、ぐずり、下痢、咳・鼻水といった副反応が現れることがあります。注意事項として、接種後、腸重積を示す症状である腹痛、繰り返す反復性の嘔吐、血便の排泄、腹部膨満感、高熱が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

感染性胃腸炎(ロタウイルス)とは?

ロタウイルス感染症胃腸炎の症状や特徴を説明するおまめちゃんの漫画イラスト

感染性胃腸炎(ロタウイルス)とは、ロタウイルスの感染により起こる胃腸炎です。主に生後6か月から2歳の乳幼児がかかりやすく、症状は突然の嘔吐に続き、白っぽい水のような下痢をおこします。通常は3~5日程度で落ち着いてきますが、脱水が強い場合には入院が必要となることもあります。まれにけいれんが群発したり、脳症を合併することがあります。

感染性胃腸炎(ロタウイルス)の原因と感染経路

経口感染、接触感染、飛沫感染により感染します。

5歳未満の乳幼児期に気をつけたい理由

ロタウイルスは種類(型)が多く、ほとんどの子どもが5歳頃までに少なくとも1回はかかると言われています。ウイルスの種類が異なるとできる免疫が異なり、免疫ができても弱いこともあるため、一度かかってもその後、何回もかかることがあります。ロタウイルスによる胃腸炎は下痢や嘔吐から始まりますが、重症化すると脱水症状になり点滴や入院が必要になったり、脳炎などの重い合併症を引き起こす場合もあるため注意が必要です。

まとめ

ロタウイルスワクチンは、ロタウイルス感染による胃腸炎の重症化を防ぐワクチンです。ロタウイルスの予防接種は接種期間が短く、特に初回接種は遅くとも生後15週未満までには受けるようにしましょう。ワクチンには1価と5価の2種類のワクチンがあり、接種回数が2回、3回と異なります。病院や小児科によって取り扱うワクチンの種類が異なりますので、確認してから接種するようにしましょう。


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保健師・SHIHOさん
保健師・SHIHO
10年以上にわたり自治体保健師として感染症や母子保健などの業務に従事し、多くの住民に寄り添い支援を行う。他にも、病院看護師としての臨床経験や学校保健師としての業務経験など、幅広く公衆衛生に従事する経験を持つ。現在、一人娘を育てながら、ICTを使ってより多くの人々の健康支援に寄与できるよう、育児コラムの編集・監修などにも活動を広げている。趣味は映画鑑賞。
ずんこさん
ずんこ
タイ在住の日本人漫画家、イラストレーター。 日本でマンガ家アシスタントなどを経験後、シンガポールのローカルアートスクールにてマンガの描き方を教える。現在はタイ・バンコクを拠点にマンガ・イラストの制作をしている。他にも、シンガポールやベトナムのイベントに、マンガ風似顔絵ブースで参加をするなど、マンガを通してさまざまな人達と交流していきたいと活動を広げている。
参考文献
日本小児学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138 (最終閲覧:2024.05.28)
厚生労働省「ロタウイルスワクチンに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/index_00001.html#Q24 (最終閲覧:2024.05.28)