もう「プール熱」とは呼ばない!「咽頭結膜熱」等に変更へ
「プール熱」と呼ばれる、子どもの間で流行しがちな感染症があります。2023年の冬頃から、プール熱の呼称が、正式名称である「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」や「アデノウイルス感染症」に変わったのはご存じでしょうか。夏に感染が流行しやすいとして広く知られていたプール熱の名前が、変更になった背景を解説します。
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もう「プール熱」ではない!?正しい名前は「咽頭結膜熱」
咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)は、アデノウイルスの感染により、発熱とのどの痛み、結膜炎といった症状があらわれる、夏に子どもの間で感染が広がりやすい病気です。プール遊びやタオルの共用での感染が多いことから、俗に「プール熱」と呼ばれ、広く浸透していました。
ところが、近年ではタオルの共用が減った等の理由から、プール利用における集団感染の報告は見られなくなってきました。また、夏に限らず冬にも感染のピークがあり、「プール熱」の名称と実態がそぐわなくなっていました。
今後は発熱(38~39度)、のどの痛み、結膜炎といった症状で小児科などにかかると、「咽頭結膜熱」や「アデノウイルス感染症」、「アデノウイルス熱(アデノ熱)」と診断される機会も増えるかもしれません。
呼称変更は日本水泳連盟など3団体による要望書がきっかけ
2023年11月に、日本水泳連盟など3団体が「咽頭結膜熱はプールだけでなく、生活圏全体に感染の可能性があり、プール熱という言葉を使用することは、病気に対する誤解やプールに対する偏見にもつながりかねない」として、「プール熱」の呼称の使用を控えるよう、厚生労働省に要望書を提出しました。
これを受け、現在は厚生労働省ホームページにある咽頭結膜熱の解説ページには「プールでの接触やタオルの共用により感染することもあるので、プール熱と呼ばれることもありましたが、近年ではタオルの共用が減った等の理由からプール利用における集団感染の報告は見られなくなってきています。」と記載されています。
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